MUSEEコレクション展 ネオ・ダダ 風倉匠 again

開催趣旨

 

伝説的美術集団「ネオ・ダダ」で活躍した 風倉 匠(1936-2007)。生前30年間交流し、MUSEE(ミュゼ)が恒久コレクションとして所蔵する作品群を常設展として公開します。

 

吉村益信、篠原有司男、赤瀬川原平、荒川修作、そして風倉匠らが中心となり、1960年東京で結成された前衛芸術団体「ネオ・ダダ」(ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ)。

磯崎新設計(処女作)の吉村益信邸「ホワイト・ハウス」を拠点に、過激なアクション、廃物による卑俗なオブジェ、街頭パフォーマンス、偶発的・直情的でアナーキーな「反芸術」としてエネルギーを発散させ一大ムーブメントを生み出しました。「読売アンデパンダン展」をカオスに導き、無法地帯とし、終了に導いたともされています。

戦後の経済復興の波に乗り、テレビや新聞雑誌などのマスメディアを巻き込む戦略で、篠原有司男を筆頭に、東京銀座の街を仮想して練り歩くパフォーマンスが話題となり全国に電波。美術界のみならず世間を震撼させました。わずか半年間の活動期間にも関わらず、「ネオ・ダダ」や「ヌーヴォー・レアリスム」などの当時の世界のアート動向との同調、そして否定。日本の前衛美術の先駆者として現代再び評価されはじめています。

 

風倉匠は、大分県大分市生まれ。武蔵野美術学校中退。大分市の美術グループ「新世紀群」に参加して吉村益信、磯崎新、赤瀬川原平らと親交を結び、「ネオ・ダダ」を結成。解散後、世界的パフォーマーとして活躍し、仏ポンピドゥーセンターに招待されるなど高く評価されました。黒いバルーンに自らが入り音楽に合わせて動くパフォーマンス。グランドピアノを自らハンマーを持ち破壊し、その断片を鉛で閉じ込めた連作「ピアノ狂詩曲」が特に有名です。

本展では、銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)を開廊する原動力ともなった風倉匠コレクションと通じ、60年代、日本の前衛美術をリードした気迫をお伝えします。 

 

※MUSEE恒久コレクションにつき、販売は一切行ないません。美術館スタイルの鑑賞をお楽しみください。 

展覧会の様子

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銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)、「MUSEEコレクション展 ネオ・ダダ 風倉匠 again」。

ネオ・ダダに所属し、日本ではじめてパフォーマンスを行ったことで知られる風倉匠(1936-2007)が残した20作品を、展示しています。MUSEEは、生前30年にわたり、ファンクラブを立ち上げ、活動をサポートして参りました。その記録写真、図録、フライヤーなども公開し、連日、現代アート、前衛に関心のあるお客様にご来廊いただいております。

今回は2週間の短期展示となります。(終了後は、常設展に移行し展示を継続しますが、展示数が限られます。)どうぞお見逃しなく。

MUSEEexhibitions「銀座、次の100年のためのスタディ展」
川崎ブランドデザイン100周年事業

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開催趣旨

 

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MUSEEの可能性を引き出す

銀座の未来について考える企画展と聞いて、そんな思いが浮かびました。

銀座には時間の中で培ってきた多くの魅力・蓄積があります。しかしその豊かさ故に、未来が描き難いとも言われています。銀座のみならず、明治維新・敗戦・高度成長期と「不足」をバネに未来を描いてきた日本にとって、次の100年は、それに代わる新しい価値観が求められているようにも感じます。

MUSEEは築100年にも届こうとする建築です。超高層ビルも建ち始めた銀座において高さ10m程の大きさで昭和通りに踏ん張り続けるその姿は、微笑ましくもあり、未来に向けた新しい価値観・メッセージを、すごく小さな声で発しているようにも思えます。MUSEEは一体どんなメッセージを発しているのだろう。その声は大きく出来ないのか。それが本展のテーマです。

本展では、1・2・3階そして屋上に、それぞれ1つずつ、銀座を考えるための展示室を計画しました。それぞれの部屋には、訪れた人々が銀座について考え・語り合えるようなテーマが設定されています。収集物や学生たちの提案、リサーチにインスタレーションと、出品作品も多岐にわたります。

建築の完成に向け、検討を繰り返すことを「スタディ」といいますが、この展覧会は言わば銀座の未来を共に考えるためのスタディ展です。この場所が、銀座の未来について考え、語り合い、何らかの想いを持ち帰ってもらう…そんな場所になってもらえればと考えています。それは展覧会の目標でもありますが、ひょっとしたら、それはMUSEEの可能性そのものなのかもしれません。 

建築家 菊池甫・山本展久

ごあいさつ

 

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 川崎ブランドデザインは、おかげさまで創業100周年を迎えました。創業者が指し示した「誠実」という社訓を、建築事務所、建設会社、企画ギャラリーと時代と共に形態を変えつつも、100年間守り貫いて参りました。全てのプロジェクトに堅実に取り組み、多くのお客様と関わり、それが支え、励みとなり迎えた100周年です。ここに深く感謝申し上げます。

 東京銀座、そして新たに取得したNYウォール街という2大拠点から、建築やアートの可能性を追求し、都市景観を考えるきっかけになる企画を生むことが、次の100年に向けた礎となります。本展は、その試金石となる展覧会です。心ゆくまでお楽しみ下さい。

川崎ブランドデザイン有限会社 代表取締役ディレクター
銀座レトロギャラリーMUSEE 代表 中小企業診断士
本展プロデューサー
川崎 力宏

 

これまでの100年、これからの100年

 

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大分 1917-  総ては、ここからはじまった

1917年(大正6年)、東京駅を設計した辰野金吾 博士による重要文化財 赤レンガ館の施工に携わり、創業しました。以来4代に亘り、誠実という社訓のもと「名建築を後世に残す」美意識を持ち、株式会社 佐伯建設を経営。九州を代表する建設会社と呼ばれるまでに育て上げました。宇佐神宮 宝物館、大分市美術館など美術館建築に関わり、建築家や美術家の思考に触れ、コラボレーションを実現。九州大分を中心に、都市創りに邁進してきました。

創業者 川崎喜一(1895-1975)棟梁として、英国輸入の赤レンガ、白御影石の「辰野式」、明治正統派の洋館建築を手がける。 戦災で外壁のみ残し焼失。/2代目 川崎力太(1923-83)が修復。戦後復興の象徴として市民に歓迎された。昭和24年頃。/バブル期の建替計画を、3代目 川崎裕一(1953-2011)が地銀に直談判し阻止。95年リニューアルしBELCA賞受賞。/モダニズム日本建築で有名な大江宏と取り組んだ宇佐神宮宝物館。美術館建築の名手、内井昭蔵による大分市美術館。/伝説の美術集団ネオ・ダダで活躍した風倉匠(1936-2007)と文化都市のあり方を模索。由布院の地域おこしに深く携わる。

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銀座 2012-  銀座の歴史を語る近代建築を舞台に、企画展を開催

2012年、都内にて独立し、銀座の不動産を取得。建替えによる解体を阻止し、保存を決意。銀座に残る近代建築の魅力を引き出し、銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)を開廊。観る者の思考力を掻き立てるべく、都市景観と時間軸、現代世相を反映させた美術をテーマに、作家、建築家とともに企画展を開催。また、有名ブランドの企業ブランディングプロモーションにも参画するなど、常に新しい価値観を発信しています。

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海外展開 2017-  NYウォール街を基軸に国際展開

2017年、創業100周年。ニューヨーク金融街の歴史を創った旧証券取引所ビル(55Wall Street /築180年)を取得。同時に、米国法人Kawasaki Brand Design INC.を創設。躍動する国際経済との連携を視野に英国リバプール、バンコク、ホーチミン、フィリピン マニラ・セブ…と未来の都市景観に投資してまいります。建築、デザインに挑み続けた100年。国境を超えた新たな挑戦が、今始まっています。

 

MUSEEの可能性を引き出す

 

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2階は、多摩美術大学環境デザイン学科の学生さんによる仮想リノベーションプランを12案を展示しています。監修いただいた岸本章教授は、近代建築はもとより国内外の古い建築を訪ね歩き、記録されています。

今回は、銀座のMUSEEを実技課題として選んでいただきました。カフェ、シェアオフィス、ライブハウス、ヴィンテージカーのショールーム、個人住宅、浮世絵ミュージアム、植物プラントと、若い学生さん達のイノベーティブで個性的な提案に、驚かされます。建築というハードだけでなく、ソフト(ビジネスモデル)も真摯に考えられており、銀座の人々が心地よく回遊するMUSEEが示されました。

アーキディレクションの菊池甫さん、山本展久さんによる、「昭和通り」のリサーチインスタレーションが、会場に華を添えます。「延床面積・お金・年月」という3つ軸で 、チョコレートやコイン、トランプ、ケーキと直感的に指標が提示されています。MUSEEは、チョコレート1粒の延床に対し、歌舞伎座ザ・タワーは698粒とのこと。昭和通り沿いを、楽しく俯瞰することで、鑑賞者に新しい発見をしてもらいたいという願いが込められています。

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1階は、「銀座を訪れる Memory」をキーフレーズに、過去の銀座を、希少な絵葉書37枚でプレイバックします。明治の官製による赤煉瓦街、関東大震災の復興、百貨店進出。日中戦争、高度経済成長と走馬灯のように銀座を振り返ります。
壁面に投影するプロジェクターでは、100年間、建築、デザインと関わり歩んできた弊社 川崎ブランドデザインの社歴を上映。190スライドで振り返ります。本展を記念して制作されたロゴ(K100)の真鍮製モビール5体(高上旭氏デザイン・製作)が黄金の光を輝かせ、異空間を作り上げています。

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会期中イベント

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銀座たてもの展 実行委員会のご協力のもと、毎週末にギャラリートークイベントを開催することになりました。
銀座の都市景観、建築デザインに関わって来られた素晴らしい方々をゲストに迎えます。銀座を深く知り、益々好きになれるはずです。各回定員20名となります。興味ある方は是非、事前にご予約ください。

謹製ミニMUSEE。建築家 山本展久氏による1/1000スケールの銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)の極小模型。展覧会場3階で公開する、真鍮版を駆使して制作した「銀座街区」に乗せて都市景観を考えるアイテムとなります。崖岩に見える黄金小石マグネット付。


2017年1月4日(水)11:00〜 オープニング 新春 お屠蘇(とそ)サービス


2017年1月14日(土)18:30~ 「これからの銀座の街について」 

ゲスト:竹沢えり子氏(銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会 事務局長)

慶應義塾大学文学部卒業。2011年、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。博士論文にて日本都市計画学会論文奨励賞を受賞。著書『銀座にはなぜ超高層ビルがないのか』(平凡社新書)、共著に『銀座 街の物語』(河出書房新社)など。
   参加費:500 円(謹製ミニMUSEEお土産付き) 定員:20名(要メール申込・先着順) ※大盛況のなか終了しました。

2017年1月14日(土)に開催されたイベントの様子です。ゲストに、竹沢えり子氏(銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会 事務局長)をお招きし「これからの銀座の街について」ご講演いただきました。

銀座は、他の街とは比較されることのない唯一無二の存在として、専門店の商人たちがプライドを持ち、積極的にまちづくりに参画してきた歴史的経緯をご説明いただきました。単なるモノの売買だけなく、きめ細やかな信頼の構築こそが、銀座らしさの原動力であり、「銀座のお店だから安心」という良い関係をこれから将来も繋いでいって欲しいとのこと。

戦前、住居を構え商売をする住人も多かったという銀座。現在は商業施設が優先され、オーバーストア状態にある指摘もあるそう。銀座の店頭で働く人が、実は消費者でもある現状から、地区計画での優遇、用途変更を模索する時期ではないかという最新の議論を教えていただきました。(あえて住居を誘導し、滞在型のホテルのような、広さのある高級コンドミニアムというアイディアには驚きでした。)

年間300件を超える建築や看板の申請を、1件づつ丁寧に議論を重ねて「銀座らしいか」を審査するお仕事についてもお話いただきました。騒音を出すデジタルサイネージや、最新のガラス投影技術など、イタチごっこの昨今。銀座は、森永の地球儀ネオンなど新しい看板表現を認めてきた過去もあるため、数値や色合いだで機械的には判断しないとのこと。「建築そのものの美しさ」「(ヒューマンスケールの)ショーウィンドウ」を優先し、その瞬間しか立ち会わなければ体験できない表現を大切にしていくという新たな指針を構想中とのことでした。

最後に、銀座で起業家精神が育まれることについて。明治・大正と、銀座で生まれたモノやサービスが多数存在するように、未来のスタンダードが銀座で生まれて欲しい。「銀座で育ててもらった感覚で、世界で活躍してもらうことこそが最大の発信力」と締めくくっていただきました。

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2017年1月21日(土)18:30~  「銀座建物ものがたり銀緑館」上映会&トーク  
ゲスト:石川信行氏 西松典宏氏(銀座奥野ビル306号プロジェクト)

銀座6丁目、かつて「銀録館」という小さなビルがあった。関東大震災後に建てられ、大規模な再開発により2013年に歴史の幕を閉じた。地下には剣持勇・渡辺力デザインの「BAR TARU」、3階には「現代画廊」、5階には「テーラースコット」があり、文化の香りの漂うビルだった。銀録館の誕生、建物の特徴の紹介、関係者の声など、ビルの歴史と物語に迫ります。
          参加費:無料  定員:20名(要メール申込・先着順) ※大盛況のなか終了しました。

2017年1月21日(土)に開催されたトークイベントの様子です。ゲストに、石川信行氏・西松典宏氏(銀座奥野ビル306号プロジェクト)をお招きし「銀座建物ものがたり銀緑館」上映会とトークをしていただきました。

今春、銀座六丁目、新たに「ginza six」として生まれ変わる松坂屋跡地。街区を一つにする異例の再開発で、そこには
かつて「銀録館」という小さなビルがありました。地下には剣持勇・渡辺力デザインの「BAR TARU」、3階には「現代画廊」、5階には「テーラースコット」があり、文化の香りの漂うビルでした。

石川信行氏・西松典宏氏(銀座奥野ビル306号プロジェクト)は、元テレビ番組のディレクターとして、番組制作に関わった経歴から、銀録館の誕生、建物の特徴の紹介、関係者の声など取材し、映像にまとめられました。ビルオーナーの実業家であり国際的な美術収集家だった松岡清次郎(1894-1989)が、どういった経緯で誰に設計や施工を依頼したかと、お二人が様々な文献や実地のリサーチを行ない、ビルの歴史と物語に迫ったドキュメンタリー映像に、引き込まれながら鑑賞しました。

トークでは、撮影時、昔の電話帳を調べ上げ、設計者が「濱田勝次」だと見つけたときの感動をお話いただきました。現在は、同じ近代建築である「銀座奥野ビル」に纏わる文化人について調査をし、映像を制作されているそう。

会場には、銀録館で「テーラースコット」を45年間、ビル解体の直前まで営まれた川島良夫さん(85歳)と奥様もご参加いただきました。手仕事に拘り、極力ミシンを使わずに、丁寧に仕立てる職人肌の川島さんは、多くの著名人を含む顧客に愛され、仕立てた洋服は数しれず。店を閉じた現在も、昔のお客様の洋服のメンテナンスに精を出されてるエピソードに、銀座ならではのお客様との信頼関係を垣間見ることができました。洋行帰りの松岡清次郎が、テーラーに立ち寄り、喫茶店代わりにお茶を出したエピソードなどを懐かしそうに語っていただきました。

古き良き昔の銀座にタイムスリップしたようなイベントとなりました。

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2017年1月28日(土)18:30~ 岸本Labo「海外のリノベーション事例」2階展示監修の岸本章氏による特別講座 
Laboマスター:岸本 章氏(多摩美術大学環境デザイン学科教授)

東京都生まれ 1979年、多摩美術大学美術学部建築科卒業 1982年、東京藝術大学美術学部大学院修了 1982~1985年、山下和正建築研究所 1986年~岸本章設計所 1988年~多摩 美術大学建築科非常勤講師 1999年~多摩美術大学環境デザイン学科助教授 2007年~准教授 2008年~教授 日本民俗建築学会理事、日本建築学会会員、道具学会会員。 HP  http://www.tamabi.ac.jp/kankyou/kishimoto/
          参加費:無料 定員:20名(要メール申込・先着順)  ※大盛況のなか終了しました。

2017年1月28日(土)に開催されたトークイベントの様子です。ゲストに、岸本 章氏(多摩美術大学環境デザイン学科教授)をお招きし「岸本Labo 海外のリノベーション事例〜2階展示監修の岸本章氏による特別講座」を開講しました。

国内外の古い建築を訪ね歩き、開設15周年を迎えた「環境デザインマニアック」にて消えゆく東京、都心の町屋など独自の観点で都市景観を捉え、発信されている岸本章教授。多摩美術大学環境デザイン学科、3年生の学生さんによる仮想リノベーションプランを12案を監修いただいたご縁で、MUSEEでの特別講座を開講いただきました。現存する建築のリノベーションを課題にしてこられた経緯からお話いただきました。最近は、消えていく建物も多く、実際に建て替えを予定している所有者オーナーからは理解が得られず、毎年ひと苦労あるそう。学生さんに、建築・インテリア・ランドスケープ複合的に考えてもらい、街づくりの場合は、地元の方に発表する機会を設けてこられました。

建築の保存再生について、5つの区分について、わかりやすく解説いただきました。
①保存 文化財として学術的な調査とともに。
②リノベーション(改修、更新、改新)同じ機能のまま、増築などで使い勝手を良くする。
③コンバージョン(再生、転用)外観が持つ価値、景観を重視しつつ、中身を違う機能に転換させる。
④リフォーム(再利用)外観の価値ではなく、構造を再利用するなど経済性の観点から行われる。
⑤再建 オリジナルの手法でいかに復元するか。RCで再現した大阪城などは、学問的には疑問が残るが、シンボルとしての意味合いが強い。

今回は、②③について、岸本教授自らが現地で撮影した写真による事例を多数紹介。その注目すべき点を解説いただきました。

②リノベーション
キングスクロス駅(ロンドン)、セントパンクラス駅(ロンドン)、アトーチャ駅(マドリード)、進化博物館(パリ)、BBC(ロンドン)、ストラスブール駅(ストラスブール)、大英博物館グレートコート(ロンドン)
大胆にもガラス張りの構造躯体で覆ったストラスブール駅や、隣地に最新の駅舎を新設し、旧建物は大胆にも植物園になったアトーチャ駅など、大規模かつ公共性の高い駅舎を中心にご紹介いただきました。

③コンバージョン
テートモダン(ロンドン)、北京798芸術区(北京)、ヘドマルク博物館(ノルウェー)、バスティーユ高架(パリ)、ノルトライン・ヴェストファーレン デザインセンター(エッセン)、ブラッケンハウス(ロンドン)、21世紀美術館(ローマ)、オスロ芸術大学(オスロ)、ガソメーター(ウィーン)、ドゥースブルグ環境公園(ドゥースブルグ)、セント・マーティンスインザフィールズ(ロンドン)
発電所時代の煙突を残し、都市景観を守りつつ、セントポール大聖堂との間にミレニアムブリッジを架け、人々の眼差しをガラリと変えたテートモダン。環境を破壊した負の産業遺産をそのまま朽ちるかのように残し、真逆の価値である環境を押し出したドゥースブルグ環境公園。など、日本では考えられないような、目を見張るものを多数ご紹介いただきました。

最後に、この数年で銀座から失われた建物写真を背景に、「二度と戻ってこない建物、見ていて悲しくなりますよね」と次々と建築が解体されることに危機感を抱いていることについて触れられました。

「長持ち」する建築は、工学技術的アプローチで日本が得意とする分野。それと切り口を変え「長生き」する建築をいかに考えるか。それは、建築への愛情の問題で、長生きさせようとする気運の醸成が必要とのこと。この分野は研究されることが少なく、美大が取り組むべきだと考えているそう。そのため、建築的価値、文化財としての価値だけでなく、町並みを永年形成し、「人々の記憶」「ランドマーク」としての価値を、拾い上げていくプロセスを模索していくことが重要とのこと。

「“レガシーを創る”と世の中で叫ばれているが、そのレガシーを壊すことから始まるところに違和感がある。経済性との兼ね合いはあるが、記憶を残すことが、企業姿勢の前向きな表現につながり、しいては経済へ循環する世の中になってくれれば」と締めくくられました。

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2017年2月4日(土)18:30~ 「100周年。建築保存と不動産開発の現場から」 
講演:川崎力宏(川崎ブランドデザイン有限会社 代表取締役・銀座レトロギャラリーMUSEE 代表)
×対話 高上旭氏(高上旭デザイン事務

大手ハウスメーカー勤務を経て、家業である九州の建設会社を継ぐ既定路線から一転、独立。川崎ブランドデザイン4代目。2013年、銀座に残る近代建築を取得。藤本壮介氏設計の高層ビル新築を計画するも、解体直前にレトロな魅力に取り憑かれ保存を決意。装いも新たにギャラリー開廊。以来50本を超える展覧会を開催。2015年法政大学 経営大学院I.M.専攻 修士課程(MBA)修了。中小企業診断士として、銀座ギャラリーの新しい未来を切り拓くべく活動している。また国際不動産投資家として、世界各国将来の都市景観に投資を行っている。創業100周年を記念して制作された映像と共に、その制作を担当した高上旭氏と対話形式で、歴史に裏打ちされたリアルな建築保存、不動産開発について講演します。
          参加費:無料  定員:20名(要メール申込・先着順) ※大盛況のなか終了しました。


2017年2月11日(土)18:30〜 「中銀カプセルタワービル〜名建築を保存する7つの方法〜」
ゲスト:前田達之氏(中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト代表)

2010年に1つめのカプセルを取得し、2011年より中銀カプセルタワービル管理組合法人で監事を務める。ビルの保存・再生を求めて、管理組合、管理会社、オーナーと交渉を続け、2014年には中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトを立ち上げる。翌年、クラウドファンディングを成功させ、ビジュアルファンブック「中銀カプセルタワービル 銀座の白い箱舟」を出版。およそ20カプセルのリノベーションを手掛ける他、国内外のメディア対応や「カプセルバンク」「アートプロジェクト」等に取り組む。 HP  http://www.nakagincapsuletower.com/
         参加費:無料 定員:20名(要メール申込・先着順)※大盛況のなか終了しました。

 

「銀座、次の100年のためのスタディ展」。2017年2月11日(土)に開催されたトークイベントの様子です。ゲストに、前田達之さん(中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト代表) をお招きし、「中銀カプセルタワービル〜名建築を保存する7つの方法〜」 と題し講演いただきました。

銀座のランドマーク、黒川紀章設計の「中銀カプセルタワービル」。60年代、丹下健三の影響を受けた、黒川紀章、菊竹清訓、槇文彦といった建築家を中心に展開された「メタボリズム」。建築を新陳代謝させるという前衛的な設計思想を体現した異色の名建築です。

前田さんは、2010年に1つめのカプセルを取得されて以降、ビルを愛し、今では複数カプセルを所有。ビルの保存・再生を求め、住人らと2014年中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトを立ち上げました。クラウドファンディングを成功させ、ビジュアルファンブック「中銀カプセルタワービル 銀座の白い箱舟」を出版し、およそ20カプセルのリノベーションを手掛けるほか、国内外のメディア対応や「カプセルバンク」「アートプロジェクト」等に取り組まれています。( HP http://www.nakagincapsuletower.com/ )

名建築を保存する7つの方法として、「1知る、2広める、3繕う、4企てる、5組む、6つながる、7活用する」という項目ごとに、これまでの活動の様子を写した写真とともに分かりやすくご説明いただきました。黒川紀章がメディアで注目を集めたように、前田さんの保存運動も、テレビや新聞、ネット、雑誌や書籍、写真などメディアへの露出、コラボレーションなどが核になっています。今では、日本を代表する現代の風景として紹介され、キアヌ・リーブスなど著名人が前田さんを訪ね、ビル見学に訪れるほど国際的に注目されています。

築45年を迎え、カプセルという特殊な構造につき、給排水や老朽化が進む現在。丁寧にリノベーションをサポートされた成果が実を結び、新たな住人が増え、個性的なカプセルが次々と誕生しています。映画上映会、アートイベントの企画など、住人同士のコミュニティ形成に一役買い、現在進行形で新たな文化を発信されています。いつか「世界遺産に登録されるように頑張りたい」という明るいメッセージで締めくくられました。注目度高く、30名近いお客様にご参加いただき、質疑応答も盛んに行われた講演会。前田さん率いる中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト、これからの展開が見逃せません。

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2017年2月18日(土)18:30〜 クロージングセッション 「総括 MUSEE(ミュゼ)の可能性を引き出す」
建築家:菊池甫氏 山本展久氏(本展示アーキディレクション担当)

2ヶ月間の展示終了を期に、本展覧会のアーキディレクションを担当した両名が、総括として感じたことをセッションします。 【菊池甫】oohk-菊池甫一級建築士事務所 【山本展久】山本展久アトリエ荒川企画室 共に1982年生まれ、大分大学大学院修了後、設計事務所勤務等を経て、現職。 東京の下町に拠点を構え、所縁のある東京・大阪・九州の3地域を中心として活動を展開中。東京都美術館主催『Arts & Life:生きるための家』展(藤本壮介賞)、『吉備線LRT駅デザインコンペティション』(佳作)など国内コンペの入選・入賞多数。本展においては一年がかりで準備を重ね、建築という立場から銀座とそこに建つMUSEEについて改めて考察。これからの100年をどう歩むべきかを検討しながら、鑑賞者に自由な発想と閃きを促すコンテンツ構築に挑んだ。
          参加費:無料 定員:20名(要メール申込・先着順)

 

 

銀座レトロ絵葉書 〜品格ある銀座の「流儀と挟持」。その誕生を紐解く〜


本展1階で展示するのは、大正〜昭和初期に印刷され、銀座を訪れた人々が手にしたレトロな絵葉書。その数37点。大火を幾度も経験し、その都度、復興し商人が立ち上がり、粋な銀座、銀座らしさを形成してきました。銀座和光や資生堂と文化価値を発信する企業も銀座を拠点にしています。その激動の歴史を37枚を通じて走馬灯のようにご覧いただきます。「銀座を訪れる Memory」と題し、現代に息づく品格ある銀座の「流儀と挟持」、その誕生を紐解きます。

 

銀座は、記憶される。現在であればアイフォーン片手にフェイスブック。
しかし、過去に銀座を訪れた人々は、銀座を未だ見ぬ人々に向けて絵葉書を送った。
場所を伝えるツールだった絵葉書は、長い年月を経て、時を伝えるツールへと変わっていく。
敗戦後の混乱の中、それでもハレの日を求めて銀座に集まる人々・・・
銀座の記憶は、人々の要望の記憶。「銀座の役割は終わった」という人がいる。銀座は何時、その役割を終えたのだろう。
現在、人々は銀座に要望を持たないのだろうか?未来、人々は銀座に何を求めるのだろうか。

 

 

 

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銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)の企画展「MUSEE exhibitions」。独自の経験・背景から信念を持ち意欲的に創作する気鋭作家を紹介、さらに俯瞰して、建築や都市計画までも視野に展開するシリーズです。現代の世相を反映しつつ、未来志向の実験的・イノベーティブなプロセスを通じ、独自の価値観の提示に挑みます。空間構成から体験をアートとするインスタレーション、プロジェクションマッピングなどの新しい手法、そして戦前から残る近代建築との対照性にご注目ください。

MUSEE exhibitions  is a comprehensive design exhibition by Ginza Retro Gallery MUSEE. This series serves to introduce bold artists producing works with ambition and conviction rooted in experiences and environments both in Japan and abroad. MUSEE exhibitions focuses on installations that use spatial organization to turn personal experiences into art. Through experimental processes that reflect modern times while looking toward the future, MUSEE exhibitions strives to present a unique worldview. Please take care to note as well the contrast with the modern architecture that lingers from pre-war days.

 

志賀 絵梨子 展 具象化された想い

「魂の様相」(2015)

「魂の様相」(2015)

開催趣旨

志賀絵梨子(1984-)は、キャンバスにやわらかな色彩で繊細にモチーフを描き出す油彩絵画の作家です。

人間の生命力や想いを、植物の姿として可視化させることに取り組んできました。植物の短い周期での命の入れ替わりから「死」を感じ、そこから人間が持つ本来の「生命力」を描き表わそうとしています。

銀座レトロギャラリーMUSSE(ミュゼ)では、東京藝大の修士課程へ進み、独立美術協会(独立展)で、2015年新人賞を受賞するなど、着実に歩みを続ける志賀絵梨子を紹介します。どうぞご期待下さい。

 

具象化された想い

 

 私は、人間の目に見えない「想い」を表現するために「植物の生命力」に着眼した。植物は、意思を持たず、純粋無垢に成長し、人の心を動かす力がある。植物が繁り覆う様子は、根源にある「想い」を素直に体現しているかのようだ。

 なぜ、植物に「生命力」を感じるのか。それは、短い周期での命の入れ替わりから、常に「死」を連想させながら生きているからである。陽の「生命力」の裏には、実は暗い陰の「死」への意識が根底にあるのだ。

 人間も同じように、死を意識するからこそ、願いや欲求などの強い「想い」が出てくる。それは人間の生きる原動力であり、生命力の源である。陽の生命力を、植物の姿で描き表し、人の「想い」を可視化した。「想い」は、心、魂、自然と共振するもの、見えないところに根ざしたものである。

 人間は魂に素直に従って生きることが難しい生命体である。思考して今日を生きてよいかどうかではなく、魂で感じるような生命力、魂の声が聞こえてくるような植物を描き、そして、人間が持つ本来の生命力を表現したい。

                                                                                     志賀 絵梨子

作家経歴

「花篭る幻視」(2015)

「花篭る幻視」(2015)

 

志賀 絵梨子

1984 神奈川県生まれ

2002  武蔵野美術大学 造形学部油絵科に2年間在学ののち

~2004東京藝術大学へ入学

2008 東京藝術大学 美術学部絵画科油画専攻 卒業

2015 東京藝術大学 大学院美術研究科芸術学専攻 在学中

2009 第19回富嶽ビエンナーレ展 佳作賞 受賞

2011 第20回富嶽ビエンナーレ展 優秀賞 受賞

2015 第83回独立展 新人賞 受賞

 

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銀座たてもの展 Nakagin AIR 2014
銀座コラージュ!アーティスト・イン・レジデンス展

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開催趣旨

 

 銀座を舞台に実施したアーティスト・イン・レジデンスの成果展

銀座のたてものを「生きているオブジェ」と捉え、

空間に刻まれた「記憶のあれこれ」を5名の参加アーティストが探求し、制作に臨みました。

舞台は奇跡的に残る昭和の魅力あふれるビル!

「中銀カプセルタワービル」(1972年竣工)を滞在先に、

「奥野ビル」(1932年竣工)を制作スタジオに、

「銀座レトロギャラリーMUSEE」(1932年完工)を展示として使用!

戦後の建築運動や住宅が企画展のテーマとして着目されるなか、

実体験に基づく制作の様子を共有することで、

たてものが「そのまま」あることの「意義」と「可能性」を探ります!

「銀座の記憶(文化)」を、未来へ継承する契機となるよう願いをこめて。。。

 

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小山 泰子 展「かなた」

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作家挨拶

 

今年1月、ジャーナリスト竹田圭吾氏が51歳という若さで亡くなりました。

私にとって生活の一部だった、彼のラジオ番組。

報道という仕事に情熱を持ち、最期まで徹した姿勢に、心を打たれました。

彼方(かなた)に過ぎ去ってしまった物、人、出来事に

想いを馳せることが、今回の作品制作のきっかけとなりました。

これから先に待ち受けている将来に希望を込めて、

私の受けた印象を表現できるよう努めていきたいと思います。

                           小山 泰子

 

作家経歴

 

 小山 泰子       

兵庫県出身。茨城県取手市在住。

日々の生活の中で感じる情景を繊細かつ伸びやかに描く日本画に取り組む。

 

2004年 東京藝術大学日本画科入学
2007年 国際瀧富士美術賞グランプリ受賞
2008年 東京藝術大学日本画科卒業
    前田青邨記念大賞展入選
2010年 東京藝術大学大学院日本画科卒業
    大学院修了作品東京芸術大学買上
    東京メトロ財団賞受賞
2012年 前田青邨記念大賞展入選
    月のアート展入選
    第18回三菱商事アートゲートプログラム入選
2013年 第19回三菱商事アートゲートプログラム入選
2013年 アルビオンアワード入選   

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展覧会の様子

 

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本日2016/11/30より、銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)では、小山 泰子 展「かなた」がスタートしました。

 

東京藝術大学大学院を修了後、日々の生活の中で感じる情景を繊細かつ伸びやかに描く日本画に取り組まれている作家、小山 泰子を紹介しています。ジャーナリスト竹田圭吾氏の死をきっかけに、最期の最期まで情熱を持ち生き続けることの大切さを知ったことが、今回の展覧会開催の原動力になったといいます。過ぎ去った「彼方(かなた)」を、希望的な視点で見つめる展覧会となります。

 

今回の展覧会のために制作された新作9点、メインビジュアルの作品「かなた」(116.7㎝×90㎝)を含む16点を公開。小山 泰子の描く、情景をどうぞご鑑賞ください。

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鈴木 聖 展 SEI SUZUKI Exhibition2016 形と色の始まり

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形と色の始まり

 

乗換駅のホームに通勤電車が入ってきた。

ドアが開き、乗客たちが吐き出されてくる。

突然、どんなものも形と色でできているのだと頭をよぎった。

曇り雲のような絵に対峙してきたが、

一瞬明るい空のような変化が生まれた。

私は、どこか明るくなり電車に乗り込んだ。

これが、形と色の絵の始まりです。

                 鈴木 聖

 

作家経歴

 

鈴木 聖

1951年東京生まれ。

1979年より国内外で、抽象画を発表。感情をぶつけ、線と面を自由自在に選びつつも、

秩序を持った「不思議」な領域空間を目指し創作している。

 

1951年     東京生まれ

1979・80年  住友サムホール展

1984・85年  史染抄ギャラリードローイング展

1988年    渋谷区立 松濤美術館 佳作賞

1992年    ギャラリー悠々苑

1992・93年    コンテンポラリーアート協会展

1994年    国際デッサン大賞展

1994年    ギャラリー檜

1995年    ギャラリーくるみ

1996年    華堂賞展、目黒雅叙園 カフェバーカフェワンズ

1996年〜99年  欧州美術クラブ国際展

1997年    ギャラリー檜

1999年    コーヒー&ギャラリー ウィリアムモリス

2001年〜03年 小野画廊(4回、半企画)

2004年・08年・15年 FUKUIサムホール展

 

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展覧会の様子

 

2016/11/2(水)より、銀座レトロギャラリーMUSEEでは、「鈴木 聖 展 SEI SUZUKI Exhibition2016 形と色の始まり」がスタートしました。色鮮やかな新作抽象画がギャラリーに華を咲かせています。

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企画展「アール・デコの時代 古写真で垣間見る1920-30」

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開催趣旨

 2016年8月〜9月、銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)では、企画展「アール・デコの時代 古写真で垣間見る1920-30」を開催します。

 アール・デコとは、1925年にパリで開催された「現代装飾美術産業美術国際博覧会」の一部を省略したことに由来する名称です。アール・デコの源のひとつは、流動的な形態表現を主としたアール・ヌーヴォーですが、アール・デコでは、様式化された幾何学的・抽象的なデザイン表現が追求されました。

 折しも1920年代は、飛行機や汽船が発達し、汽車や自動車はスピードを求めた時代でした。それを反映する機能的でダイナミックな表現として、流線型やジグザグ模様が現れました。アール・デコは、起源においてフランス的な表現でしたが、1920年代から30年代にかけて他の西欧諸国やその他諸外国でも広く支持を得て、地域の特性と結びつきながら各地で各々の展開が見られました。

 特に、大戦の舞台とならずに工業力を高めたアメリカでは、ヨーロッパ諸国にはいくらか遅れたものの、20年代にはニューヨークを中心にアール・デコが展開され、クライスラー・ビルやエンパイア・ステート・ビルに代表されるアール・デコのモニュメントが創り出されました。大恐慌を経た30年代には急速にアメリカ全土に広がり、とくにマイアミとロサンゼルスに多数のアール・デコ建築が建てられ、ハリウッドに代表される圧倒的消費文化も追い風となって拡大しました。

 一方で不況の影響が日用品にも及び、30年代には大量生産に適したプラスティックなどの新素材がアメリカ人の生活に浸透し、新たな表現を可能にしました。その後モダニズムの時代になって、装飾が削ぎ落した、規格化と大量生産が可能な製品が主流になると、「装飾性」を前面に押し出したアール・デコは前時代的な遺物とみなされるようになりました。デザイン史上で評価されなくなった時代があったのです。

 しかし、社会のあらゆる面で合理性と機能主義に従った都市景観が広がる今日、近代的デザインの先駆けとなったアール・デコ様式がかえって新鮮なものとして人々に受け入れられ、再び評価が高まっています。

 本展では、美術史書籍の翻訳者、古賀敬子が、アールデコの時代に撮影されたレトロな古写真、意匠が際立つ建築写真を中心に、当時の世相が伝わる25点を選定しました。写真出力に際して、現代の色彩色調アレンジを施し、ゴールドの額装としました。

 マン・レイ(Man Ray 1890-1976)と交わり、「変わりゆくニューヨーク」に参画し、変貌していく都市景観を技巧的脚色なしに撮影したアメリカの女性写真家ベレニス・アボット(Berenice Abbott 1898-1991)を中心に紹介。アール・デコの意匠、当時を生きた人々と街の景観との関わりが垣間見えるものという軸で選定し、当時の様子を再現しようという展示です。

 銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)の建築は、1931年竣工。銀座に残る希少な近代建築を舞台に、古き良きデザインが時代を牽引した様子を回顧いただきます。当時流行したスクラッチタイルの外観は、アール・デコに憧れた日本人が、レンガを模して、独自に編み出したものです。モダンで活気あふれるアール・デコ時代の雰囲気をお楽しみください。 

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ベレニス・アボット(Berenice Abbott 1898-1991)

 

 1898年オハイオ州スプリングフィールドで生まれ。コロンビア大学でジャーナリズムを学んだのち、ニューヨーク、パリ、ベルリンで絵画や彫刻、写真を学ぶ。1929年にニューヨークに戻り、1939年、出世作となる「Changing New York(変わりゆくニューヨーク)」を発表。  

 50年にわたるアボットの仕事は、都市の記録ばかりでなく、そのテーマ、手法は多岐に及び、アメリカ写真界のパイオニア的存在として名高い。1920年代、マン・レイ(Man Ray 1890-1976)のアシスタント時代、パリに集う前衛アーティストのポートフォリオを、被写体を正面から見つめる正統な肖像写真の手法に即し撮り始め、人物の個性や人柄を鮮明に浮き彫りにした。1929年、住み慣れたニューヨークに戻り、急速に変貌を遂げる都市を目の当たりにする。高層ビルや鉄橋が作り出す幾何学的な光景や、そこに住む人々の生活、表情を大型カメラで記録した作品は、パリ時代に心酔し、世に送り出すも不出世に終わった写真家ウジェーヌ・アジェの写真を想起させる。アボットによるシティースケープは、技巧的脚色なしに撮影したもので、ニューヨークという過去に例のない摩天楼の鼓動とダイナミズムを焼き付けている。  

 80年近く経った現代において、アボットの写真は歴史的に重要であるばかりではなく、徹底してリアリズムを追求した姿勢が真価を発揮し、惹きつけてやまない。

 

 

展示作品紹介

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【ビジネス】Wilsonテニスラケット新作モデル 世界同時発表イベント
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報道関係者様各位【ウイルソン】ロジャーフェデラーモデルプロスタッフ発売記念イベント2 報道関係者様各位【ウイルソン】ロジャーフェデラーモデルプロスタッフ発売記念イベント3

 

報道関係者様各位【ウイルソン】ロジャーフェデラーモデルプロスタッフ発売記念イベントのご案内

 

ウイルソン契約プロ・テニスプレーヤー「ロジャー・フェデラー」モデル

テニスラケット「PRO STAFF」新作発売記念メディアイベント

「PRO STAFF & ROGER FEDEER Premium Musium」を開催

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 この度、アメア スポーツ ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区新宿 6 丁目/代表取締役社 長: 岸野 博)ウイルソンは、来る2016年 7 月 20 日(水)に現在世界ランキング3位(7月 11 日 付)である同社契約プロ・テニスプレーヤーロジャー・フェデラー使用の新作テニスラケット 「PRO STAFF」発売記念イベント「PRO STAFF & ROGER FEDERER Premium Museum」を、東京・銀座一丁目「銀座レトロギャラリーMUSEE」にて開催する運びとなりまし た。2016 年 8 月で 35 歳を迎える、史上最高テニスプレーヤー“ロジャー・フェデラー”が開発 を指揮した New PRO STAFF の商品説明会および商品発表会を行います。

 この商品は、1984 年の発売時から、多くのファンから永遠不滅の支持を得る、テニス界唯 一の名器であること。史上最高とも言われる輝かしい戦績をもつロジャー・フェデラーがその 使用者であることから、テニス界のみならず、話題となるモデルでもございます。ぜひご来臨 賜りますよう何卒宜しくお願い致します。

 

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ART CROSS PROJECT 2013 SUMMER ヒントの森 in GINZA
當間美紀子「雲を掴む」

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展示概要

 

銀座のギャラリーやショップなどがアーティスト達に期間限定で場所を提供し開催される「ヒントの森in GINZA 2013 SUMMER」に銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)が参加します。MUSEEのシンボルツリーである「紅葉の木」に沖縄出身のアーティスト、當間美紀子さんの作品”雲を掴む”を展示します。

 

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“雲を掴む”

Message:

空に浮かぶ雲が中にいる「雲の巣箱」によるインスタレーション。銀座の街に沖縄の雲が現れます。  

Statement:

小さい頃、雲は触れる、つかめると思っていました。そんな子供の頃の夢を実現にしたく、雲を巣箱におさめました。 

 

作家紹介

 

    當間 美紀子

1987 沖縄県生まれ
2011 琉球大学美術教育専修
2013 SICF14出展 

 

 

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沖縄から上京してきたばかり、MUSEEスタッフと一緒に作品を設置しました。空に浮かぶ雲が中にいる「雲の巣箱」によるインスタレーション。銀座の街に沖縄の雲が現れました。2013年8月3日までの期間限定の展示です。夏休みに相応しい「沖縄の雲」をお楽しみ下さい。

 

 

 

ART CROSS PROJECT 概要

ART CROSS PROJECT 2013 SUMMER
ヒントの森 in GINZA
2013. 7/22-8/18

ARTISTS:
安田美智子, 吉田聡, 宮沢隆宏, 工藤 希, 小関裕美, 石橋ちひろ, 石山友梨香, 中山真輝, 渡部晋吾, 藤乃優里, 當間美紀子, 及川有沙, 松本健明, 松本泰佳, 堀口淳史, 稲葉弘恵 (順不同)

ASSIST:
ミタスカフェ, AIN SOPH., Makoto selected used glasses, LEAGUE, 茶・銀座, SMALL WONDERLAND, Stone Flower, ATELIER SHINJI GINZA, 北欧の匠, レ フロール アンソレイエ, 銀座レトロギャラリーMUSEE, Cafe Ohana, CENTO ANNI GINZA, 大貴洞, 熊平の梅 東京銀座店, BRILLIANCE TOKYO銀座サロン, 銀座 Pole To win, RUDIES Cafe Lounge, ファーストビューティー, 銀座 凛, 銀座 独楽, 銀座 SCOTT, Pepper’s Gallery (順不同)

COSPONSOR: PEPPER’S PROJECT www.peppers-project.com
LOGO DESIGN & PATTERN DESIGN: 石橋ちひろ
DIRECTION: 白石 愛須希
ORGANIZE: アートクロスプロジェクト実行委員会

1. About “ヒントの森 in GINZA”

アートはクリエイティビティの塊です。
クリエイティビティは私たちが人間らしく生きる原動力です。
アートには答えがありません。
見る人にとって無限のヒントが隠されています。
ヒントは希望です。
ヒントは生きる知恵と勇気を与えてくれます。
2013年夏、銀座にヒントの森があらわれます。

“About Ginza Hint-Forest”
Art is nothing but creativity.
Creativity gets you into action as human.
Art has no answers.
Art hides numerous hints to be discovered.
Hints are hope.
Hints are wisdom, hints are courage.
Summer 2013, why don’t you step into our “Ginza Hint-Forest”.

– 新しい世代のアーティストによる、私達の生活や日常思考に新たな発見や気づきをあたえてくれる様々な”アートオブジェクト” = “ヒント”が、銀座の様々な場所に展開します。
– Artists of the next generation have created new ideas and visions that will change our everyday life and thoughts. Their art objects, so called “hint” will appear at various locations right here in Ginza.

– アーティストが作るひとつひとつのアートを、鑑賞者に新たな発見(ヒント)を与えてくれる木と見立てます。そして銀座界隈に様々な形や発想のヒントの木が至る所に出没し、それは森へと変わります。銀座にアートの森が出現するイメージをテーマにし、屋内外様々な場所での展開により、街の生活や都市環境とコミット&クロスするアートプロジェクトを実現させます。
– Each of the art object provided from our artists will become a “tree” which will give viewers new perspectives. With variety of shapes and concepts, Ginza will become a huge forest, having different “trees” in different locations. It is closely committed to the city’s environment, and it connects people and places, and this art project will grow a huge forest of art. It’s Ginza Hint-Forest.

平下 英理 展 「忘れえぬ景色」

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開催趣旨

 

 平下英理(1985〜)は、神奈川県茅ヶ崎を拠点に活動する画家です。東京造形大学で油画を学び卒業後、明快な色彩と大胆なコンポジションを特徴とする作品を手がけてきました。絵画制作のプロセスを「生への希求」であると考え、予定調和を超えたその先の領域に踏み込むことを模索しています。

 トーキョーワンダーウォール入選作品展2015(東京都現代美術館)をきっかけに、銀座レトロギャラリーMUSEEで、初夏に相応しい新作を発表します。茅ヶ崎に残る歴史的建造物「旧南湖院」、そこで最期を過ごした文化人たちの見た景色をモチーフに作品を展開します。どうぞご期待下さい。

 

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作家挨拶

 

 2016年初夏、東京銀座で年月の重みをもった近代建築で展示するにあたり、過去の遺産を主題にしました。

私の住処である、茅ケ崎に残る明治32年に建てられた木造建築「旧南湖院」を見つめます。

ここは、大正期の急速な近代化をすすめた東京からも、多くの患者を迎え、東洋一のサナトリウムと

称されました。国木田独歩が最期を迎えた場所でもあります。今茅ケ崎をみつめる私の視点と、サナトリウムで

過ごしていた作家たちがこの景色に向けていた眼差しが、どこかで共鳴できるのでしょうか。

それを私は画家として探っていきます。その鍵となるのが唯一残されている「旧南湖院」です。

そこから、この地によって呼び起された「生への希求」を描きたいと思います。

 

平下  英理 

   

「忘れえぬ景色」

「スナッフ」(2016) 23×27.5センチ  キャンパスにアクリル、油彩

 

 嘗てここには、海岸線から砂丘が広がり、防砂林である松の陰から赤い風車や白妙の洋館の屋根、巨大な給水タンクが隠見する景色が広がっていた。湘南地方を療養転地として知らしめたサナトリウムがあったのは100年近く前。今や当時の趣きを残すものは、第一病舎であった木造洋館一棟だけである。いたんだ木肌はひび割れ、よごれた外壁は塗り替えられて、何度も補修されては辛うじて今在る建物。

 全てが終わってしまった跡、時代に取り残されたままの、その所在の無さをどのように受け止めればいいか私には分からなかった。憶えのない記憶を感じ取ることは難しい。

 でも、このサナトリウムで最期を迎えた国木田独歩が構想していた作品「砂丘」、片上天弦「茅ヶ崎日記」や前田夕暮の詠んだ短歌をこの場所で読むと、その息遣いを感じて共有できるものがあるように思う。

 

風車赤く風に光り、一日ぢゅうカラカラと空で笑ってゐた

赤い風車の下の、敏感な検温器のそばで、わが子さよりのやうに寝てゐる

東洋的な感傷をそそる撫子の路と療養所の白い建物のかげ

ぬれたコンクリート廊下に空がうつり、涼しすぎる海浜療養所の朝かげ

日は林に照り、日は砂にかげり風、風車に光る午前午後

秋草の紫のかげふかい夕なぎの砂丘で、何をわが子に話したことか

前田夕暮(「南湖院と高田畊安」川原利也著 中央公論美術出版 より)

 

 生きた感覚として、作品が肉体にしみわたるような感覚だ。景色も価値観も様変わりしてしまったはずだが、五感に響くものは今も近いのではないか。作品とはそういうものであるし、だからこそ形あるものに現し、遺してきたはずである。それゆえに、作家が病床において辛苦ののちに断念された、表出されなかった作品の事も想う。

 現在、あの頃の海風に刻まれた砂丘も、感情を代弁した赤い風車も、もうここには無いのだ。

 

作家経歴

 

 平下 英理

1985年 神奈川県生まれ

2009年 東京造形大学 絵画専攻 卒業

 

 グループ展

2007年「THE SIX」横浜赤レンガ倉庫

2008年「ワンダーシード2008」トーキョーワンダーサイト渋谷

       「FOUR+SEVEN」exhibit Live&Moris Gallery

       「KOSHIKI ART EXHIBITION 2008」甑島市内

2010年「VOCA2010」上野の森美術館

2014年「SQ117」 Gallery惺SATORU

2015年「トーキョーワンダーウォール入選作品展2015」東京都現代美術館

         「New Artists 2015」 Gallery Jin Projects

   個展

2009年「ストレンジ&チャーム」Gallery b. Tokyo

 

展覧会の様子

 

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本日2016/6/29(水)14時より平下 英理 展 「忘れえぬ景色」がスタートしました。神奈川県茅ヶ崎を拠点に活動されている画家、平下英理さんによる7年振りの展覧会です。今も茅ヶ崎に残る歴史的建造物「旧南湖院」。国木田独歩、前田夕暮らが療養し最期を迎えた東洋一のサナトリウムを舞台に、そこから浮かぶ記憶、そして景色を表現した10作品(アクリル、油彩8点とドローイング2点)をご覧いただきます。サナトリウムで紡がれた文学から着想を得たという(蛍光色で新鮮味を帯びた)中国語の文字。今はない赤い風車の影。時間軸を超えた文化人達の記憶を探る展示となりました。 2016/7/2(土)には、作家を囲んでのパーティー(ギャラリートーク、入場無料)を開催し、制作意図を中心に語っていただきます。お気軽にお越しください。

 

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平下英理展、開催されたギャラリートークの様子です。 暑い中でしたが、多くの方々にお越しいただきました。作品制作の意図、技法など、作家の平下さんより丁寧に解説して頂きました。 メインの作品には、実は3つの時代(明治、戦時中、現代)が3分割されて描き込まれています。戦時中は、空撃のターゲットにされないよう、そばの松林に似せた迷彩模様が外観に施され ていた様子が、画面右端に表現されています。重層的に、時間軸を一枚に収めた手法に、皆さん驚かれていました。