ウィーン世紀末の逸脱 ー『ヴェル・サクルム創刊号』特別展示

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開催趣旨

 

 今を遡ること100年以上。19世紀末、転換期を迎えたウィーンでは、アール・ヌーヴォーの流れを汲みながら、幾何学的、直線的、抽象的なデザインが創出されました。その優れたデザインは、グラフィックにとどまらず、家具、工芸品にも顕著に現れ、後のアール・デコに通じる価値観が醸成されました。

 今回は、世紀末ウィーンを語る上で欠かすことの出来ない「ウィーン分離派」機関誌《ヴェル・差クルム創刊号》を特別公開します。優れた芸術家たちが、その価値観を発信すべく、創り出した機関誌《ヴェル・サクルム》は「聖なる春」という意味で、既成の美術からの逸脱と革新を伝えた大変貴重な資料の一つです。芸術家コロマン・モーザー(1868-1918)による銀製シャーレとあわせて、色褪せることのない世紀末ウィーンの原点をご覧ください。

 

 

展覧会の様子

 

ウィーン世紀末の逸脱1「ウィーン世紀末の逸脱」展では、ウィーンで1898年に創刊された「ウィーン分離派」の機関紙『Ver Sacrum(ヴェル・サクルム)』(ラテン語で「聖なる春」の意味)を特別展示しています。

30cm正方の愛好家用のハードカバーで包まれた12ヶ月の冊子(約150頁)には、当時の芸術家による優れたグラフィック作品が散りばめられています。「ウィーン分離派」の運動が始まった当初、創刊号につき、従前のアール・ヌーヴォーのビジュアルが多数掲載されているのが特徴です。
 
美術史上の貴重な資料につき、欧州の工芸美術館ではガラス越しでの展示が通常ですが、本展覧会では(スタッフの手袋着用による頁めくりにて)直接ご覧頂くことが可能です。
 
あわせて、当時の芸術家コロマン・モーザー(1868-1918)による葉の文様が透かし彫りされた1905年頃の銀製シャーレも展示しています。モーザーのKMと共に、「ウィーン工房」の製作者ヨーゼフ・ヴァグナーのJWの刻印がされた、デザイン、技術の融合が際立つ見応えある工芸品です。
 
日本で唯一のウィーン世紀末に特化した専門店、パルナスウィーンインテリア監修の展覧会です。革新的なウィーン世紀末のデザインをご堪能くださいませ。
 

 

杉谷 慧 展 東から西、西から東

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展覧会の様子

 

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2015/7/29水曜日より「杉谷 慧 展 東から西、西から東」がスタートしました。杉谷慧さんは、多摩美術大学院に在籍し、ベルリン芸術大学に留学された経験もある若手作家です。薄いアルミ板に透明度ある油彩を施した、現代アート作品に取り組まれています。

 

   「東から西、西から東」

    太陽は東から昇り、西へと沈む。西を通って東へ進む。

    人は東を目指して、西を辿り、東に着く。

    万物は東から西へ、西から東へ。どこが東でどこが西でもない。

 

 

『東から西、西から東』という今回のタイトル。 西洋と東洋。ベルリンでの滞在をきっかけに、国境に関して思い巡らすようになったという杉谷さん。ベルリンの空に沈みゆく太陽を見て、日本をはじめ他の国からも、同じ太陽が見られるということから、今回の創作のヒントを得たそうです。

ギャラリーの空間に配置された一連のパネル作品「the suns Ⅰ~Ⅳ」には、太陽がリズミカルに表現され、窓から入り込む太陽光と呼応します。

太陽の動きから導かれる、瑞々しいブルーの色彩が美しい「the universe」からは、生命の原点が垣間見られます。国境を越えて、ひとつの地球を巡る、旅人になった感覚になれる展覧会です。

 

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須藤 晋平 展 CREMATIONー火葬ー

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展覧会の様子

 

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銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)では、2015/7/22(水)より「須藤 晋平 展 CREMATIONー火葬ー」を開催します。

須藤晋平さんは現在、多摩美術大学院(博士前期課程)在籍。昨年夏のトーキョーワンダーウォール公募2014にて入賞され、その中から「トーキョーワンダーウォール賞」(12作品)に選出された経験のある、将来が楽しみな若手作家です。2015/8/6~27都庁(空中回廊)で開催される入賞展示と合わせ、「CREMATIONー火葬ー」と題した展覧会を企画しました。

 

       「CREMATIONー火葬ー」
   立ち上る煙は次の姿へと変形を試みるゴースト
   再生を祈るようなメタモルフォーゼ
   再会を夢見る

 

100号規模の作品を3点、30〜10号規模の作品を3点、小作品を7点の展示しました。作品に共通のモチーフとして登場する「煙」から導かれる「再生への願い」が表現されています。特に、今回の展覧会のために制作された新作「rerising Icarus」(油彩F50号2組1167×1820)では、ギリシャ神話に登場するイカロスの墜落がモチーフになっています。悲劇的なエピソードで留まることなく、イカロスが煙となって昇る姿から、希望的な「再生」を感じ取っていただければと思います。

2015年7月26日(日)までの5日間、どうぞご高覧くださいませ。

 

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藤本まり子 初個展 【誰も、君に意地悪をしませんように。】

《展示コンセプト》

    誰も、君に意地悪をしませんように。

 

   優しく生きる事は難しい。
   競争や攻撃によって人の先を行かんとする人も多い中、
   優しさは弱さや甘さに間違えられがちだ。
   いつも人に優しく出来る人は、
   そういった反感を気にしない、強い人に見える。
 
   皆が優しければ、皆が生きやすいのに。
   「自分にしてほしい事を、人にもしてあげましょう」
   幼稚園の頃には、親や先生によってそんな倫理観が
   インプットされたような気がするのに、
   忘れてしまったのか、自分には関係ないと考えているのか…。
 
   ーそう思っていた。しかし。
   人間、思い通りに行かない事もあれば、
   嫌いな(合わない)人に会う事もあれば、
   理不尽にぶちあたる、あるいは自分から人に
   理不尽を降りかけてしまう事だってあるかもしれない。
   分かっていてやってしまう理不尽、これは 意地悪 だ。
 
   本当は、優しくされたら優しさを返すのループであって欲しい。
 
   しかし自我をもった生物である以上、
   自分を守るために、「嫌い」という感情も
   きちんと持っておかなければならない。
   故に、必ずどこかで意地悪はおこってしまうと思う。
 
   ただ、してしまった意地悪は”悪い事”なのだと、
   自分で知っておかなければならない。
   跳ね返ってくる恐れがあることも忘れてはいけない。
 
   そして、自分が大切に想っているものには、
   意地悪が降り掛からないでいて欲しいと、切に祈る。
 
   同じ祈りは通じ合い、引かれ合い、共鳴すると、そう思っている。

 

《作家経歴》

    藤本まり子  Mariko Fujimoto

1991  東京に生まれる
2014  多摩美術大学絵画学科油画専攻 卒業
     現在、科目等履修生として多摩美術大学に通いつつ、制作活動を続けている。主に平面絵画を制作。

 

2014  多摩美術大学卒業・修了制作展   多摩美術大学
      五美術大学合同卒業・修了制作展   国立新美術館

2013  グループ展『PARTY』
2012    グループ展『LUCKEY STRIKE 修教』
      Artist’s Action for JAPAN  参加
      グループ展『Emergency Contemporary Artist in Japan 2012』     NY
2011   グループ展『tokimekiippai』
     服飾部展示『First impression』
     デザインフィスティバルvol.33出展    国際展示場
     U35・500人アーティスト小作品販売EXHIBISION  横浜赤レンガ倉庫
2010  『プラチナ妄想』
      グループ展『女-adult-』
2014 秋 二人展 「要」 開催予定

 

《メッセージ》

人の、読み取れるか読み取れないか、という
微妙な感情・表情の表現を追求しています。
中性という曖昧さに惹かれ、中性的な人物を描きます。
日本・日本人が好きです。

 

《展覧会 会期中の展示風景》

 

iyamari展 I CAN SEE, BUT I CAN’T SEE

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I CAN SEE, BUT I CAN’T SEE

 

 

 我々の思考は常に遮られている。限界が存在する。それは、人が世界を知覚するにあたり、用いる唯一の世界との接点が五感であり、その五感にそれぞれ機能の限界が存在するからである。我々は普段の生活で、それ(知覚の限界)を感じることはなく、知覚出来ない部分の存在は永遠に謎である。いくら知覚補助として様々な機械を発達したとしても、人間がそのデータを受信し続ける限り、そこには必ず壁が存在する。

 

 小さい頃、何故自分には今手で触れている木の内側を見ることが出来ないのか、ガラスの向こうの水に触れることが出来ないのかと疑問に思ったことがある。何故、昆虫は自分では見えない自分の背中を、あんなにも見事に周りの風景に溶け込ませることが出来るのだろうか。片目を閉じればあんなにも近くにある家が目を開くと何故遠くに行ってしまうのか。時計とは時間とは何なのだろう、それは区切る事が出来るのだろうか。

 

 私の創作の元は、子供の頃に不思議に思った事で、それは大体が今でも謎のままだ。客観性というものはそもそもこの世界に存在しない。しかし、主観を意識し、またそれを突き詰めようとする事によって、客観的世界(知覚の限界のその先)に近づく事が可能なのではないか、そして、それが唯一許されているのがアートなのではないかと私は考えている。

 

                                                                                2014.8

 

作家紹介

  

   iyamari

1987年 埼玉県/浦和市生まれ

2012年 多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業

2014年 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域修了

 

 

展示歴

2008年 『見沼百花展』(Green art team Kawaguchi/ 埼玉,川口)

    多摩美術大学日本画選抜展(たまびば/ 東京,町田)

2009年 『見沼の見! – 2009直視せよ!』(Green art team Kawaguchi/ 埼玉,川口)

2011年 『見沼の見! – 水際に想う』(Green art team Kawaguchi/ 埼玉,川口)

2012年 『Tanemaki 2nd展』(12 Banchi/ 神奈川,川崎)

    多摩美術大学絵画学科日本画専攻卒業制作展(東京銀座画廊メルサ/ 東京,銀座)

    東京五美術大学連合卒業・修了制作展(国立新美術館/ 東京,六本木)

2013年 多摩美術大学大学院版画日本画合同展『祭囃子』(佐藤美術館/ 東京,千駄木)

    チャリティー展示『日本画小作品展』(多摩美術大学/ 東京,八王子)

    BS-TBS『未来へのおくりもの』作品出展

2014年 東京五美術大学連合卒業・修了制作展(国立新美術館/ 東京,六本木)

   
 

展覧会の様子

 

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銀座レトロギャラリーMUSEE、初のインスタレーション展示です。3階の空間に現れたiyamariさんの新作「Time Response」。人間が知覚できる18分の1秒を、18枚の金箔、墨、和紙の素材が揺らめいて表現します。

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「明滅する私」芦田いずみ 展

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明滅する私

 

生きていくうちに正負のできごと半々位づつあって

私たちはその正負の極を移動しながらめぐりながら、過ごしている。

そんな当たり前のこと、昔の人がさんざん言って伝えてくれたことだけれど

やっぱり過ごしてみて、最近やっと感じてきた。

世の中は正の思想・感情への肯定が強すぎて、私の生理との乖離がある。

せめて絵の中くらいは正負すべてを肯定したい。

 

 

ごあいさつ

 

今回はモザイクとアクリル、異なる素材の作品を同時に展示します。

同じ人間が作ったものかと混乱される方があるかもしれません。

これらは上記の正負の関係のように、

互いを補う存在として、私の中で展開してきたもので

何とか同時に展示できる方法はないかと考え、実現したのが今回の展示です。

自分でも「どう見えるだろう」という不安と希望があり

そんな面も、一緒にご覧頂けたら幸いです。

                              芦田いずみ

 

作家紹介

 

芦田いずみ

1984 東京生まれ

2007 武蔵野美術大学 油絵学科 卒業

〈受賞歴〉

2007 モザイクビエンナーレ 奨励賞

2011 モザイクビエンナーレ 佳作

2012 世界絵画大賞展    東京都知事賞

〈個展歴〉

2011 「信仰のようなもの」(銀座 ガレリアグラフィカbis)

2012 「新宿のマテリアル」(新宿 オーガードみるっく)

 

展覧会の様子

 

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MUSEE exhibitions 002 石浦志帆 展 photic

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 開催趣旨

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銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)の企画展「MUSEE exhibitions」。 海外をはじめとした経験、背景から、信念を持ち意欲的に創作する 気鋭作家を、紹介するシリーズです。

石浦志帆(1989-)は、富山県出身、上越教育大学院で学び、台湾留学経験を積み、 2015年春修了する若手作家です。幼少期、自身の前髪が太陽で透け光る様子に興味を覚え、一貫して「光」をテーマに取り組んでいます。 現代人の慌ただしい日常。光を捉えることで一瞬ではありますが、 確かに照らし出し、日常の素晴らしさを再確認させてくれます。

光に焦点を当てた新しい表現を本展で展開します。どうぞご期待ください。

 

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 子どものころから、自分の前髪が太陽に透け、あわく光っているのを見るのが好きでした。

 それは、自分のすぐ身近にある日常が、光であふれた非日常に切り替わり、

 未来も過去もなく浮遊しているような感覚です。

 日々を忙しく生きていると、日常の尊さに眼を向ける事は少なくなり、それは非常に見えづらくなります。

 ですが、「光」はそんな日常のすばらしさを一瞬だけ、

 だけどたしかに、照らし出してくれるものだと私は考えます。

 瞬間が宙に浮き、未来も過去もない「今」だけを光の中で感じている、

 そんな表現を求めて制作を続けています。

 

                                           石浦 志帆

 

作家紹介

 

石浦 志帆

1989 富山県生まれ

2012 上越教育大学 学校教育学部 芸術系コース「美術」 卒業

2013 台湾国立新竹教育大学 交換留学

現在 上越教育大学大学院 学校教育研究科 芸術系コース「美術」 在学中

 

受賞歴

2014 トーキョーワンダーウォール2014 入選

2014 第9回西会津国際芸術村公募展2014 西会津ライオンズクラブ賞

 

展覧会歴

2012 「上越教育大学×新竹教育大学  国際交流展」

   (毓繡藝術空間/台湾・上越市民プラザ/上越市)

2012 グループ展「個有色」(ギャラリー邨/銀座)

2013 グループ展「個有色 vol.2」(ギャラリー邨/銀座)

2013 「A3プロジェクト国際交流展 上越教育大学×新竹教育大学×マカオ理工学院」

   (ミュゼ雪小町/上越市・毓繡藝術空間/台湾・マカオ理工学院/マカオ)

2014 グループ展「第一回 三人展 融」(純画廊/銀座)

2014 グループ展「つゆのはれま」(純画廊/銀座)

2014 「トーキョーワンダーウォール公募2014入選作品展」(東京都現代美術館)

2014 「第9回西会津国際芸術祭公募展」(西会津国際芸術村/喜多方市)

東京巡回展(ギャラリーspaceS/世田谷)

2014 グループ展「START」(画廊星醫院/喜多方市)

 

展覧会の様子

 

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ウィーン世紀末工芸展〜時を超えたガラス器たちのエスプリ〜

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銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)の一角にオープンしたウィーン世紀末に特化した路面店「パルナスウィーンインテリア」昨年のオープニング展には、多くのお客様にご来廊いただきました。初めてウィーン世紀末の文化に触れた方も多く好評でした。本展も引き続き、ウィーン世紀末に焦点を当てた企画となります。

ウィーン工房が中心となり、チェコのガラス、ドイツの陶磁器のエッセンスも加わり、「工芸品」の完成度が飛躍的に高まった時期が19世紀末であるとされています。19世紀末のウィーンは、あらゆる分野の芸術が一斉に開花した華麗な時期でした。家具、工芸などの応用美術が、純粋芸術と言われる建築、彫刻、絵画と同格に認められ、空間デザインの系譜において重要なターニングポイントとされています

特に、旧体制の芸術団体キュンストラー・ハウスに半旗を翻し、過去の伝統から“分離”して新しい芸術を創ろうとした「ウィーン分離派」の芸術家たちの革新的なまでの活躍は注目に値し、現代再評価されています。彼らの強い想いは、簡素な造形美に刻み込まれています。

 

銀器 シャーレ ウィーン工房(コロマン・モーザ、ジョセフ・ワーグナー)制作 1905年 100年の時を超えてもなお輝きを放つ、力強い意匠。ウィーン分離派(セセッション)を牽引したウィーン工房による秀作です。

チェコ製 花瓶&タンブラー 黒被せガラス 1935年頃 細く繊細な線で装飾が施されたガラス器。セゼッション、そしてアール・デコの美意識が冴え渡ります。

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白磁器 蓋付き小箱(レプリカ) チェコ製  パヴェル・ヤナーク リドル&トン社 原デザイン1911年 当時流行したキュビズムの影響を色濃く反映したフォルム。

 

 

WWKーウィーン世紀末の革新デザイン 川崎弘美 壁面作品展

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開催趣旨

 

 2013年12月、日本で数少ないウィーン世紀末のインテリアに特化した路面店「パルナスウィーンインテリア」が、銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)の一角に併設開業します。

 19世紀のウィーンは、あらゆる分野の芸術が一斉に開花した華麗な時期でした。家具、工芸などの応用美術が、純粋芸術と言われる建築、彫刻、絵画と同格に認められ、空間デザインの系譜において重要なターニングポイントとされています。特に、旧体制の芸術団体キュンストラー・ハウスに半旗を翻し、過去の伝統から“分離”して新しい芸術を創ろうとした「ウィーン分離派」の芸術家たちの革新的なまでの活躍は注目に値し、現代再評価されています。彼らの強い想いは、簡素な造形美に刻み込まれています。

 ウィーン世紀末の魅力を日々の生活で感じていただけるプロダクトとして主宰する川崎弘美が自らの手で、当時デザインされたテキスタイルを使用し、構成美を追求した壁面装飾「WWK」(WAND WERK KAWASAKI)を制作いたしました。開業記念として4週間連続で展覧会を通じて発表いたします。

 ウィーン世紀末の革新デザインを、80年建築であるギャラリー空間が引き立てます。年末の華やかな時期に相応しい、装飾をご覧戴けます。皆様のご来廊を心よりお待ち申し上げております。

 

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【開廊記念】蝶 ▷ネオダダ ▷建築▷アートがつなぐ。未来。展         <3>伝説の前衛美術集団ネオダダ 風倉 匠 初公開コレクション

 【展示3】伝説の前衛美術集団「ネオ・ダダ」 風倉 匠 初公開コレクション

The legendary avant-garde art group “Neo Dada”. During the 60s, their parade in Ginza wearing disguise shocked the nation. Known as the first performer of its kind in the post-war era, Kazakura Sho was a founding members of the Neo Dada movement and had an active career around the world. We have been huge fans over the years. To show our respect to the late master who passed away in 2007, we are debuting fifteen precious works which we received from the artist for the first time in Japan.

 

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銀座の街を衝撃的とも言える個性的な格好で練り歩いたパフォーマンス(=ハプニング)はあまりに有名。当時のマスコミの注目を集め、伝説の前衛美術集団「ネオ・ダダ」と言われる所以となっている。

 

 今や伝説とも言われている前衛美術集団「ネオ・ダダ」。1960年代、銀座を仮装して練り歩き、全国に衝撃を与えました。その創設メンバーで、戦後初めてパフォーマンスを行なったことで知られ、国際的に活躍した 風倉 匠(1936-2007)。

 銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)を運営する川崎ブランドデザインは、ファンクラブを立ち上げ、生前応援してきました。2007年永眠された氏への哀悼として、貴重な作品群13点を初公開いたします。

 今でこそ現代アートの展覧会は、数多く開催され市民権を得ていますが、半世紀前では理解しがたい未知のアートとして、美術館での展覧会はおろか画廊やギャラリーでの展示も憚られる存在でした。

 そんな現代アートの黎明期1960年、今や伝説として語り継がれている前衛美術集団「ネオ・ダダ」(ネオ・ダダイズム・オルガナイザー)が結成されました。読売アンデパンダン展に出展した荒川修作、吉村益信、篠原有司男、赤瀬川原平、そして風倉匠らが、建築家 磯崎新 が設計したアトリエ“ホワイトハウス”を拠点に創作活動を行い、銀座で3度の展覧会を行ないました。

黒いバルーンに入り、ピアノ演奏に合わせ有機的に動くパフォーマンス。「ピアノ狂詩曲」という破壊したピアノを額縁に閉じ込めた連作も存在する。

黒いバルーンに入り、ピアノ演奏に合わせ有機的に動くパフォーマンス。「ピアノ狂詩曲」という破壊したピアノを額縁に閉じ込めた連作も存在する。

 その間、世間の注目を集める目的で銀座での仮装パフォーマンス(=ハプニング)を敢行。社会風俗現象「銀座のダダっこ」として揶揄されながらもマスコミを大いに賑わせ、美術評論家に着眼されるアナーキーな作品や構想を数多く残し、スキャンダリズムを旨とする日本の前衛美術の傾向を示す典型となりました。

  磯崎新によって命名された大分の美術グループ「新世紀群」の吉村益信を中心に、風倉匠、赤瀬川原平らが参加することで生まれた大分~東京ルートがネオダダ結成の源流であります。

1996年、磯崎 新(左)をゲストに迎えた佐伯建設記念式典にて。 風倉 匠(中央)、そして前代表 川崎 裕一(右)。

磯崎 新(左)をゲストに迎えた弊社80周年記念式典にて。風倉 匠(中央)取締役 川崎弘美、前代表 川崎 裕一(右)。

 

 

 

 

 

 ネオダダ・風倉匠 は、戦後最も早くパフォーマンスを行なった前衛アーティストとして知られ、1986年パリのポンピドゥセンター「前衛芸術の日本1910-1970」に招待、1995年バングラディシュ「アジア美術ビエンナーレ」など世界を魅了し、高い評価を得ました。グランドピアノを叩き割るパフォーマンスとその破片を鉛に閉じ込めた「ピアノ狂詩曲」は、特に印象深く、人気を博しました。

 

磯崎 新 の処女作「大分県立図書館」は、90年代初期、老朽化のため取り壊しの窮地に陥りました。前代表 川崎 裕一 が声を上げた保存運動が成功し、大分市美術館アートプラザとしてリニューアル。 ネオダダの作品も多数恒久展示されております。磯崎 新 の処女作「大分県立図書館」は、90年代初期、老朽化のため取り壊しの窮地に陥りました。前代表 川崎 裕一 が声を上げた保存運動が成功し、大分市美術館アートプラザとしてリニューアル。 ネオダダの作品も多数恒久展示されております。

磯崎新 の処女作「旧大分県立図書館」は、平成初期、老朽化のため取り壊し計画が浮上。前代表 川崎裕一が声を上げた保存運動が実り、大分市美術館アートプラザとしてリニューアルされ現在に至る。「ネオ・ダダ」作品も多数展示されている。

 

 

 

 川崎ブランドデザインは、大分を拠点とした前代表時代、吉村益信の家業(現 株式会社アステム)と建設の仕事をはじめ経済界での繋がりがありました。

平成初期、ネオダダと深い関わりのある磯崎新の処女作「旧大分県立図書館」が解体される計画が持ち上がった際、保存運動を指揮。一村一品運動で知られている当時の大分県知事、平松守彦氏に直接進言し、保存を後押ししました。その成果が実を結び1998年「大分市美術館アートプラザ」としてリニューアル保存再生されました。こけら落としとなった記念展示「ネオダダJAPAN1958-1998-磯崎新とホワイトハウスの面々-展」が大々的に開催され、ネオダダのアーティストとの交流を深めて参りました。また同時期に、弊社が創業80周年を迎え、磯崎新を招き記念講演会を開催しました。

 

風倉匠アトリエ

 川崎ブランドデザイン取締役 川崎弘美は、1980年代に風倉匠が開いた美術教室に通った縁で、ファンクラブを結成し、九州各地での個展やイベントなど活動を支援しました。現代表も、幼少期、美術教室に通い先生と慕い、多大な影響を受けています。

 2002年、施工に関わった大分市美術館(内井昭蔵設計)にて開催された、最期の大規模な展覧会さわれる原風景を探す 風倉匠 展」では、病明けに関わらず全作品新作で挑み、周囲を驚かせました。

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 銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)の開廊は、「ネオ・ダダ」の銀座でのパフォーマンス活動、そして生前交流を持ち、お世話になった 風倉匠 の存在、インスピレーションなしでは実現出来なかった構想と捉えています。

 2007年に永眠された氏の功績を讃え、哀悼として、ご本人から生前にプライベートで頂戴した未公開の貴重な作品群を展示します。そして、「ネオ・ダダ」に続くアーティスト達と共に、銀座から新しい価値観を発信することを念頭に企画、運営して参ります。