ウィーン世紀末の逸脱2

開催趣旨

 

 今を遡ること100年以上。19世紀末、転換期を迎えたウィーンでは、アール・ヌーヴォーの流れを汲みながら、幾何学的、直線的、抽象的なデザインが創出されました。その優れたデザインは、グラフィックにとどまらず、家具、工芸品にも顕著に現れ、後のアール・デコに通じる価値観が醸成されました。

 今回は、世紀末ウィーンを語る上で欠かすことの出来ない「ウィーン分離派」機関誌《ヴェル・差クルム創刊号》を特別公開します。優れた芸術家たちが、その価値観を発信すべく、創り出した機関誌《ヴェル・サクルム》は「聖なる春」という意味で、既成の美術からの逸脱と革新を伝えた大変貴重な資料の一つです。芸術家コロマン・モーザー(1868-1918)による銀製シャーレとあわせて、色褪せることのない世紀末ウィーンの原点をご覧ください。

 

 

展覧会の様子

 

ウィーン世紀末の逸脱1「ウィーン世紀末の逸脱」展では、ウィーンで1898年に創刊された「ウィーン分離派」の機関紙『Ver Sacrum(ヴェル・サクルム)』(ラテン語で「聖なる春」の意味)を特別展示しています。

30cm正方の愛好家用のハードカバーで包まれた12ヶ月の冊子(約150頁)には、当時の芸術家による優れたグラフィック作品が散りばめられています。「ウィーン分離派」の運動が始まった当初、創刊号につき、従前のアール・ヌーヴォーのビジュアルが多数掲載されているのが特徴です。
 
美術史上の貴重な資料につき、欧州の工芸美術館ではガラス越しでの展示が通常ですが、本展覧会では(スタッフの手袋着用による頁めくりにて)直接ご覧頂くことが可能です。
 
あわせて、当時の芸術家コロマン・モーザー(1868-1918)による葉の文様が透かし彫りされた1905年頃の銀製シャーレも展示しています。モーザーのKMと共に、「ウィーン工房」の製作者ヨーゼフ・ヴァグナーのJWの刻印がされた、デザイン、技術の融合が際立つ見応えある工芸品です。
 
日本で唯一のウィーン世紀末に特化した専門店、パルナスウィーンインテリア監修の展覧会です。革新的なウィーン世紀末のデザインをご堪能くださいませ。