「銀座、次の100年のためのスタディ展」。去る2017年1月21日(土)に開催されたトークイベントの様子です。ゲストに、石川信行氏・西松典宏氏(銀座奥野ビル306号プロジェクト)をお招きし「銀座建物ものがたり銀緑館」上映会とトークをしていただきました。

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 今春、銀座六丁目、新たに「ginza six」として生まれ変わる松坂屋跡地。街区を一つにする異例の再開発で、
そこにはかつて「銀録館」という小さなビルがありました。地下には剣持勇・渡辺力デザインの「BAR TARU」、3階には「現代画廊」、5階には「テーラースコット」があり、文化の香りの漂うビルでした。

 

 石川信行氏・西松典宏氏(銀座奥野ビル306号プロジェクト)は、元テレビ番組のディレクターとして、番組制作に関わった経歴から、銀録館の誕生、建物の特徴の紹介、関係者の声など取材し、映像にまとめられました。ビルオーナーの実業家であり国際的な美術収集家だった松岡清次郎(1894-1989)が、どういった経緯で誰に設計や施工を依頼したかと、お二人が様々な文献や実地のリサーチを行ない、ビルの歴史と物語に迫ったドキュメンタリー映像に、引き込まれながら鑑賞しました。

 

 トークでは、撮影時、昔の電話帳を調べ上げ、設計者が「濱田勝次」だと見つけたときの感動をお話いただきました。現在は、同じ近代建築である「銀座奥野ビル」に纏わる文化人について調査をし、映像を制作されているそう。

 

 会場には、銀録館で「テーラースコット」を45年間、ビル解体の直前まで営まれた川島良夫さん(85歳)と奥様もご参加いただきました。手仕事に拘り、極力ミシンを使わずに、丁寧に仕立てる職人肌の川島さんは、多くの著名人を含む顧客に愛され、仕立てた洋服は数しれず。店を閉じた現在も、昔のお客様の洋服のメンテナンスに精を出されてるエピソードに、銀座ならではのお客様との信頼関係を垣間見ることができました。洋行帰りの松岡清次郎が、テーラーに立ち寄り、喫茶店代わりにお茶を出したエピソードなどを懐かしそうに語っていただきました。

 古き良き昔の銀座にタイムスリップしたようなイベントとなりました。