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開催趣旨

 

 銀座を舞台に実施したアーティスト・イン・レジデンスの成果展

銀座のたてものを「生きているオブジェ」と捉え、

空間に刻まれた「記憶のあれこれ」を5名の参加アーティストが探求し、制作に臨みました。

舞台は奇跡的に残る昭和の魅力あふれるビル!

「中銀カプセルタワービル」(1972年竣工)を滞在先に、

「奥野ビル」(1932年竣工)を制作スタジオに、

「銀座レトロギャラリーMUSEE」(1932年完工)を展示として使用!

戦後の建築運動や住宅が企画展のテーマとして着目されるなか、

実体験に基づく制作の様子を共有することで、

たてものが「そのまま」あることの「意義」と「可能性」を探ります!

「銀座の記憶(文化)」を、未来へ継承する契機となるよう願いをこめて。。。

 

 概要

 

銀座コラージュ!アーティスト・イン・レジデンス展

参加アーティスト 久保田絢子(拓画) 鈴木のぞみ(写真) 林勇気(映像)

         原摩利彦(音楽)  森ナナ(現代美術)

 特別出展             目黒学院中学・高等学校 鉄道研究部        

 

会期:2014年10月28日(火)~11月3日(祝)  時間:28日15時~18時、29日〜1日11時〜18時、2日11時〜19時、3日11時〜15時

会場:銀座レトロギャラリーMUSEE(東京都中央区銀座1-20-17川崎ブランドデザインビルヂング)  入場:無料

主催:銀座たてもの展実行委員会  共催:306号室プロジェクト  助成:公益財団法人花王芸術・科学財団  参加:中央区まるごとミュージアム2014

協力:銀座レトロギャラリーMUSEE(川崎ブランドデザイン) 株式会社奥野商会 株式会社小津商会 のぶひろアーキテクツ 中銀カプセルタワー応援団  後援:DOKOMOMO JAPAN

 

Nakagin AIR 2014  参加アーティスト

 

久保田絢子≪christmasrose≫2013 (1024x649)■久保田絢子(拓画=ネイチャープリント) 

建築学科在学中に拓画を習い始める。2003年建築や都市計画を学ぶ為単身ドイツに渡り都市、美術などの見聞を広める。拓画家である伯母”久保田南女”に本格的に師事。2011年拓画の展覧会に出展。2012年拓画、拓画印刷を製作、紹介、販売するためにOsterstr.18を立ち上げる。

 

≪christmasrose≫2013

 

 

■鈴木のぞみ(写真インスタレーション) 鈴木のぞみ ピンホールカプセルの様子 (848x1280)

2007年東京造形大学造形学部美術学科卒業。2013年東京芸術大学先端芸術表現科修士入学。2009年「トーキョーワンダーウォール2009」東京都現代美術館出展。2012年「群馬青年ビエンナーレ2012」群馬県立近代美術館に参加。2013年「CAJ.アーティスト・イン・レジデンス 」埼玉若手育成プログラムへの参加。

 

 

 

 

 

         ≪カプセル・オブスクラ≫(インスタレーション)2014

 

 

■林勇気(映像)林勇気 滞在制作の様子 (1024x683)

1997年より映像作品の制作を始める。国内外の美術展や映画祭に出品。自身で撮影した膨大な量の写真を、コンピュータに取り込み、切り抜き重ね合わせることでアニメーションを作る。その制作のプロセスと映像イメージは、インターネットやテレビゲームを介しておこなわれる現代的なコミュニケーションのあり方を想起させる。京都で開催される映像芸術祭MOVING実行委員、宝塚大学造形芸術学部准教授。

                   Nakagin AIR2014滞在制作の様子

 

 

■原摩利彦(音楽)原摩利彦(京都ゲーテインスィュト)2013

静けさの中の強さをテーマに、質感を追求した作曲活動を展開。 舞台や映像の音楽も手がけ、ダムタイプ高谷史郎演出作品『CHROMA』や伊勢谷友介監督『セイジ -陸の魚』サウンドトラックに参加。2013年4月にソロ新作『Flora』(night cruising )を発表。2014年元旦、NHK FM「坂本龍一ニューイヤー・スペシャル」にゲスト出演。

京都ゲーテインスティテュート(ヴィラ鴨川)2013

 

 

 

■森ナナ(現代美術) 森ナナ 東京モナリザ展示の様子 (1024x619)

書道家の家庭に生まれる。2006年バルセロナ現代美術館にて書パフォーマンスデビュー後、2007年より毎年福岡天神IMS(Inter Media Station)にて書き初に参加。2010年シュール!展(芸大中央棟)、2011年 鍋フリ! (美学校)、2012年 スパーク!創発!キラキラジャポン !(芸大学生会館)、H.U.B( LIXILギャラリー)に参加。2014年東京芸術大学先端芸術表現科修士入学。

 ≪東京モナリザ≫

 

奇跡のビルとは?

nakagin滞在先「中銀カプセルタワービル」 

1972年竣工、渡辺酉蔵(実業家)の協力により実現した黒川紀章の初期の代表作。メタボリズム(日本のオリジナルの建築思想)のシンボル的作品。2007年の建て替えの危機をのりこえ奇跡的に現存。

 

 

制作の場「奥野ビル(旧銀座アパートメント)」 銀座奥野ビル1

奥野ビルは1932年竣工、「銀座アパートメント」と呼ばれる。当時は、西条八十、佐藤千代子、スタジオF(藤本真澄、成瀬巳喜男、五所平之助)、吉田謙吉などの文化人が利用する憧れの集合住宅であった。設計は、財団法人同潤会出身の川元良一設計事務所。

 

 

 

 

gaikan展示「銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)(旧宮脇ビル)」

1932年の完工。奥野ビルと同時期の建物。外壁は昭和初期に流行していたスクラッチタイルが発展した加飾タイル。2013年初頭まで、小料理屋の女主人が約40年にわたり営業しビルを開発から守ってきた。若手の実業家の決断で、保存改修されギャラリーとして蘇る。昭和通りに残る貴重なビル。

 

 

Nakagin AIR2014 関連イベント

 

■Nakagin AIR記念 ゲスト・トーク

日時:2014年11月1日(日)17時~ 場所:銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)2F

ゲスト:山本和弘(栃木県立美術館 学芸員)

 

テーマ:「カプセル・オブスクラを解き明かす」

Nakagin AIR成果展を記念し、山本和弘さんをお迎えします。1960年代以降、現代美術の分野に「ピンホール・カメラ」を用いる作家が数多く登場しました。日本では山中信夫が、部屋全体をひとつのピンホール・カメラに仕立てて撮影を行なった作品が、世界的に評価されています。今回の鈴木のぞみ(参加アーティスト)は、中銀カプセルタワービル(4室)をピンホール・カメラに仕立て、撮影しました。このインスタレーションは「カプセル・オブスクラ」とタイトルが付けられています。そこで「カプセル・オブスクラを解き明かす」というテーマで、カメラ・オブスクラから、山中信夫をはじめ活躍中の佐藤時啓らの作品と鈴木のぞみの作品などの比較を試みます。

 

ゲスト 山本和弘氏(美術評論家/栃木県立美術館シニアキュレーター)
東京藝術大学・東北芸術工科大学非常勤講師。東北大学文学部哲学科卒。主な展覧会企画に「冬のメルヘン–20世紀ドイツ美術の神話 (1993年) など。主な論文に「ヨーゼフ・ボイス研究–<黒板> (東京藝術大学蔵)」(東北芸術工科大学紀要第15号)など。主な訳書『評伝ヨーゼフ・ボイス』(美術出版社)『なぜアーティストは貧乏なのか–芸術という例外的経済』(グラムブックス、2006年)。2012年、栃木県立美術館で山中信夫「マンハッタンの太陽」展を企画。

 

■森ナナ 屋上パフォーマンス


日時:2014年10月31日(金)14時~ 
11月2日(土)14時~ 11月3日(月・祝)13時~

場所:銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)屋上 ※時間の5分前位にギャラリー2階にお集まりください。※定員7名(先着順・雨天中止)

東京での初めてのパフォーマンス!銀座の空の下で実施します!

 

 

■アーティスト・トーク

林勇気

 日時:2014年10月28日(火)17時~  場所:銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)3階

原摩利彦・鈴木のぞみ

 日時:2014年11月1日(土)17時~  場所:銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)2階

参加アーティストに、直接作品について伺えるまたとない機会です!その他、関連プログラムを実施予定。最新情報は、以下でご案内しております。https://ja-jp.facebook.com/ginzamikke   http://aar.art-it.asia/u/ginzamikke 

 

展覧会の様子

 

ginza-tatemono-musee-nakagin-11中央区まるごとミュージアム参加イベント「銀座たてもの展 NAKAGIN AIR 2014」
が銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)でスタートしました。3階建ての近代建築ギャラリーを全フロアにて、5人の気鋭アーティスト達が、中銀カプセルタワーでの滞在創作の成果を披露してくれています。

 

黒川紀章のメタボリズム建築思想を具現化した中銀カプセルタワー。同じ銀座に残る近代建築アパートメント奥野ビル。「生きているオブジェ=たてもの」からインスピレーションを受けたものが各作品に反映されています。

 

また、特別出展として目黒学院中学・高等学校 鉄道研究部の皆さんによる精巧な中銀カプセルタワーの模型も登場。貴重なオリジナル窓の建具部品も展示されています。

 

今年は、黒川紀章 生誕80周年。没後なお人々を引きつけて止まない日本が誇るメタボリズム思想が、今回の展覧会の原動力です。若い感性がいかに未来へと引き継ぐか、展覧会場で感じ取っていただければ幸いです。

 

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同時期開催/銀座まるごとミュージアム「第10回 あおぞらdeアート」

同じ銀座に残る有名な近代建築、泰明小学校から。銀座界隈の11ギャラリーから推薦するアーティストの力作が揃う「あおぞらdeアート」に初参加しました。

様々なジャンルで活躍される作家さんの作品が一度に観られるアートの祭典。昨日は雨が降り天候が心配でしたが、どうにか曇り空の中、展示することができました。

銀座レトロギャラリーMUSEE(ミュゼ)ブースでは、作家9組を紹介。他のギャラリーの方や作家さんとの出会いも生まれ、有意義な時間になりました。今後もこのような対外的なイベントには積極的に関わって参ります。

 

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あの黒川紀章設計のメタボリズム思想を証明した「中銀カプセルタワー」でインスタレーションを行った鈴木のぞみさん。部屋をピンホールカメラに見立てた真っ暗な空間。目が慣れてくるにつれてビル周辺の景色が再現されはじめるという驚きの展開。原摩利彦さんによる70年代のシンセサイザー音源を基にしつつも、最先端アレンジが施されたサラウンド空間。40年前、日本中に衝撃を与えたビル建築が、若い気鋭アーティストにもインスピレーションを降り与える瞬間を垣間見ることができました。その後、MUSEEに会場を移し、アーティストトークイベントを開催。お二人が率直に感じていること、想いを語っていただきました。

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5名の参加されている現代アート作家の中で、一際目立った個性的なコスチュームの森ナナさん。日本が世界に誇る「KAWAII(カワイイ)」を体現されたような強烈な印象の彼女のパフォーマンスを開催しました。

森ナナさんは、書道家の家庭に生まれ、幼い頃より書道の道へ。2006年バルセロナ現代美術館にて書パフォーマンスデビュー後、2007年より毎年福岡天神IMS(Inter Media Station)にて書き初に参加。2010年シュール!展(芸大中央棟)、2011年 鍋フリ! (美学校)、2012年 スパーク!創発!キラキラジャポン !(芸大学生会館)、H.U.B( LIXILギャラリー)に参加されるなど、精力的に活動をされています。現在、東京芸術大学の先端芸術表現科で修士として学ばれています。古典的な書の世界と、個性的なコスチュームを身にまとった現代アート作品との両立を悩まれた時期もあったそうですが、ここ最近では今回のようなパフォーマンスを通じて融合、昇華されているそうです。

全面幅員44メートルの昭和通り。銀座の街を見下ろすベストポジションに、キラキラの笑顔と厚底コスチューム、ペタペタとシールを貼ったリモワのトランクで登場した森ナナさん。ご来場いただいたお客様も「これから何が起きるのか」と緊張感を持って見守るなか、創作がスタート。真剣な表情で無言。太い毛筆を握りしめ、エネルギッシュな筆さばきで、墨汁を飛ばしながら書が描かれました。3枚書き終えたところで「ここ銀座の屋上から見える(看板の)漢字を描いています!」と笑顔でご挨拶。作品を広げて見せてくれました。

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そして展覧会の終盤に開催した記念講演会では、ゲストに 山本 和弘 氏(美術評論家/栃木県立美術館シニアキュレーター)をお迎えし、1960年代以降、現代美術の分野に現れた「ピンホール・カメラ」手法を、歴史を紐解きながら解説いただきました。日本では山中信夫が、部屋全体をひとつのピンホール・カメラに仕立てて撮影を行なった作品「カプセル・オブスクラ」が、世界的に評価されています。「カプセル・オブスクラを解き明かす」というテーマで、カメラ・オブスクラから、山中信夫をはじめ活躍中の佐藤時啓らの作品と鈴木のぞみの作品などの比較を試みてくださいました。プロジェクターに映し出された貴重な資料をもとに、抽象度の高い作品の存在意義などを語っていただき、お客様も納得されたようでした。

 

NEWS

 

銀座経済新聞にて掲載されました。

2014年10月31日「銀座でアーティスト・イン・レジデンス展-昭和のビル3つを舞台に」