『有司男+乃り子:篠原展』のレセプション・パーティーにて 篠原夫妻は、映画「キューティー&ボクサー」によって話題になったが、私は、1998年、取り壊しの危機から、美術館として蘇った、大分市アートプラザ開館記念「ネオ・ダダ展」の公開制作以来の知り合い。その後、2007年の豊田市美術館での「ギューとチュウ/篠原有司男と榎忠展」で会ってから、久しぶりの再会だった。今回の展覧会は、映画の場面で見られるニューヨークの個展と同様二人展で、異なる作品が不思議にマッチしている。主役二人の周りは沢山の人だかり−ようやく、乃り子さんと会話がかわせた。濃い青のプリーツスカーフを巻いた彼女は、とても元気そうで、ゆったりしている。今回の映画の本当の主役は彼女であり、今まで夫のマネージャーが主であったのが、自分自身のアートが前面に出て来たからであろう。 ギューちゃんこと有司男氏は、以前にも増して元気いっぱいで、極彩色の作品の中で、鮮やかなエメラルドグリーンのシャツに身を包んで、皆の会話の中心になっている。映画のアカデミー賞の話題が出たとたん、自分で制作したオリジナルのブロンズ像を片手に、「アカデミー賞の像は鋳型でいくつもあるけど、これは僕の作品でひとつしかない!」と豪語し、皆は拍手喝采!  最後に、近くにいらした老婦人に話しかけたところ、何とギューちゃんと同じ年の従姉妹であるのこと。とても品のよい方で、良く見ると眼がそっくり。ギューちゃんの才能開花は、お母様の後押しがあったのだと言う。優しい従姉妹や彼女のお嬢さんも応援団のようだ。  久しぶりに会って、作品を見て、とても元気が出た。彼らは、人々にパワーを与えるエネルギーに満ちている。ちなみに、ギューちゃんは82歳で、我がレトロギャラリーの建築と同い年だそうだ。(ニューヨークのアトリエから送っていただいた、ギューちゃんのボクシングペイントTシャツ作品を、今夏の常設展で公開予定。)ますます二人して頑張ってほしい。  

 

パルナスウィーンインテリア主宰 川崎弘美