World MUSEE Tour 世界ミュゼ探訪005 ニューヨーク近代美術館 MOMA

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ニューヨークに訪れたら、まずはミュージカル観劇とMOMAというほどの定番ですね。

ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York)は、近現代美術を専門に扱った美術館で、ミッドタウン53丁目に位置し、1920年代から「ザ・モダン」と呼ばれ、20世紀以降の現代美術の発展と普及に多大な貢献をしてきた10万点の所蔵品を誇るモダンアートの殿堂です。ニューヨーク近代美術館MOMA 7

美術館設立の構想は、C.J.サリヴァン夫人、L.P.ブリス、J.D.ロックフェラー2世夫人という3人の女性によるもので、1929年に開館。最初の展覧会は「セザンヌ、ゴーギャン、スーラ、ゴッホ展」。

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現在では、前衛美術作家とカテゴライズされない画家ですが、開館当時は、印象派の次の世代であるポスト印象派にあたる彼らが前衛美術であり、20世紀以後の現代美術の最初の画家であったことを象徴しています。それまでの美術館で常習だったサロン風の展示ではなく、ニュートラルなホワイトキューブに絵画を展示する手法は当時は斬新だったそう。

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以後、建築や前衛美術の意欲的な企画展を開催しながら作品の収蔵を進めていき、企画展に際して発表される論文や、これまで注目されてこなかった作家や作品を美術史の中に位置づけてゆく構想力は、現代美術の価値観を創る程のものであると言えるでしょう。

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絵画作品にとどまらず、建築、インテリア、産業デザイン、ポスター、映画、写真(日本製の電気製品や家具、映画作品も展示)など、従来の美術館では芸術とはみなされていなかった表現までを収蔵品に加え、デザインの歴史に影響を与えた優れた作品として収蔵されています。

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1940年には、近代家具のオーガニックデザインコンペを開催し、後のアメリカミッドセンチュリーを代表するデザイナー、チャールズ・イームズとエーロ・サーリネンが金賞を受賞し、活躍する契機をつくったのもMOMAの功績。

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MOMAを現在までのステイタスに持ち上げ、美術館としての経営に効果的な事業スキームを育んだものが、1952年に発足したインターナショナル・プログラムの存在。経済支援のネットワークを生み、世界各国の美術館関係者と人的ネットワークを構築するプログラムを定期的に設け、巡回展示会の受け入れ先を確保し、コレクションの貸し出しで報酬を得るというもので、当時は例がなかった運営モデルだったとのこと。

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美術館の建築は、摩天楼も街ニューヨークに相応しいもの。1939年にフィリップ・S・グッドウィンとエドワード・D・ストーンの設計で、箱形の外観、壁面、ガラス面など、「国際様式(インターナショナル・スタイル)」建築の典型である部分が完成。第二次世界大戦後、1951年と1964年の2度にわたって、フィリップ・ジョンソンによって鉄骨とガラスによる増築が施され、彫刻庭園が増設され、1983年にはシーザー・ペリによってガラスのエスカレーターが象徴的なガーデン・ウィングが増築され展示面積は2倍に。

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そして、展示スペースのさらなる増加と、これまでの増築によって複雑化した全体の整理を目指し、創立75周年を記念して国際コンペが行なわれ、葛西臨海水族館(東京)、東京国立博物館法隆寺宝物館(東京)、や豊田市美術館(豊田市)などで知られる日本人建築家・谷口吉生氏が選ばれ、建築総工費450億円をかけ、2004年の完成時には大きな話題となりました。

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6階建てのギャラリービルディングは、吹き抜けを通じ、自然光が入るメインの展覧会ギャラリーを擁し、教育研究センターは、教室・講堂・教員養成ワークショップ・図書館とアーカイブのスペースが従来の5倍に。この2つの建物が、拡張されたアビー・アルドリッチ・ロックフェラー彫刻庭園を囲むカタチで配置され、面積としては拡張したにも関わらず、その雰囲気は集約しているという印象を与えています。既存建築を極力保存・補修し、敬意を払いつつ、作品との出合いに相応しい建築を理想とし、素材にグレーやホワイトといったモノクロームの色合いや、長時間歩いても疲れにくい床材、導線の検討など、本来美術館が持つ機能や環境についても考慮されています。

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個性ある各棟を中央にある彫刻庭園で繋ぎ、調和する空間を創出し、さらに、谷口吉生氏の作品ではよく登場する壁面を、庭園と敷地外の道路の間に配することで、マンハッタンの摩天楼を写り込ませる日本流の「借景」の技法を、建築というフィルターを通じてニューヨークに持ち込んだと評価されています。

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The Modernという名前のレストランも併設されており、格式の高さとモダニズムが融合された空間で、ランチやディナーも楽しめます。ニューヨークの必須スポットとして、訪れる度に新鮮な感動を呼び起こしてくれる美術館です。