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I CAN SEE, BUT I CAN’T SEE

 

 

 我々の思考は常に遮られている。限界が存在する。それは、人が世界を知覚するにあたり、用いる唯一の世界との接点が五感であり、その五感にそれぞれ機能の限界が存在するからである。我々は普段の生活で、それ(知覚の限界)を感じることはなく、知覚出来ない部分の存在は永遠に謎である。いくら知覚補助として様々な機械を発達したとしても、人間がそのデータを受信し続ける限り、そこには必ず壁が存在する。

 

 小さい頃、何故自分には今手で触れている木の内側を見ることが出来ないのか、ガラスの向こうの水に触れることが出来ないのかと疑問に思ったことがある。何故、昆虫は自分では見えない自分の背中を、あんなにも見事に周りの風景に溶け込ませることが出来るのだろうか。片目を閉じればあんなにも近くにある家が目を開くと何故遠くに行ってしまうのか。時計とは時間とは何なのだろう、それは区切る事が出来るのだろうか。

 

 私の創作の元は、子供の頃に不思議に思った事で、それは大体が今でも謎のままだ。客観性というものはそもそもこの世界に存在しない。しかし、主観を意識し、またそれを突き詰めようとする事によって、客観的世界(知覚の限界のその先)に近づく事が可能なのではないか、そして、それが唯一許されているのがアートなのではないかと私は考えている。

 

                                                                                2014.8

 

作家紹介

  

   iyamari

1987年 埼玉県/浦和市生まれ

2012年 多摩美術大学絵画科日本画専攻卒業

2014年 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域修了

 

 

展示歴

2008年 『見沼百花展』(Green art team Kawaguchi/ 埼玉,川口)

    多摩美術大学日本画選抜展(たまびば/ 東京,町田)

2009年 『見沼の見! – 2009直視せよ!』(Green art team Kawaguchi/ 埼玉,川口)

2011年 『見沼の見! – 水際に想う』(Green art team Kawaguchi/ 埼玉,川口)

2012年 『Tanemaki 2nd展』(12 Banchi/ 神奈川,川崎)

    多摩美術大学絵画学科日本画専攻卒業制作展(東京銀座画廊メルサ/ 東京,銀座)

    東京五美術大学連合卒業・修了制作展(国立新美術館/ 東京,六本木)

2013年 多摩美術大学大学院版画日本画合同展『祭囃子』(佐藤美術館/ 東京,千駄木)

    チャリティー展示『日本画小作品展』(多摩美術大学/ 東京,八王子)

    BS-TBS『未来へのおくりもの』作品出展

2014年 東京五美術大学連合卒業・修了制作展(国立新美術館/ 東京,六本木)

   
 

展覧会の様子

 

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銀座レトロギャラリーMUSEE、初のインスタレーション展示です。3階の空間に現れたiyamariさんの新作「Time Response」。人間が知覚できる18分の1秒を、18枚の金箔、墨、和紙の素材が揺らめいて表現します。

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