「魂の様相」(2015)

「魂の様相」(2015)

開催趣旨

志賀絵梨子(1984-)は、キャンバスにやわらかな色彩で繊細にモチーフを描き出す油彩絵画の作家です。

人間の生命力や想いを、植物の姿として可視化させることに取り組んできました。植物の短い周期での命の入れ替わりから「死」を感じ、そこから人間が持つ本来の「生命力」を描き表わそうとしています。

銀座レトロギャラリーMUSSE(ミュゼ)では、東京藝大の修士課程へ進み、独立美術協会(独立展)で、2015年新人賞を受賞するなど、着実に歩みを続ける志賀絵梨子を紹介します。どうぞご期待下さい。

 

具象化された想い

 

 私は、人間の目に見えない「想い」を表現するために「植物の生命力」に着眼した。植物は、意思を持たず、純粋無垢に成長し、人の心を動かす力がある。植物が繁り覆う様子は、根源にある「想い」を素直に体現しているかのようだ。

 なぜ、植物に「生命力」を感じるのか。それは、短い周期での命の入れ替わりから、常に「死」を連想させながら生きているからである。陽の「生命力」の裏には、実は暗い陰の「死」への意識が根底にあるのだ。

 人間も同じように、死を意識するからこそ、願いや欲求などの強い「想い」が出てくる。それは人間の生きる原動力であり、生命力の源である。陽の生命力を、植物の姿で描き表し、人の「想い」を可視化した。「想い」は、心、魂、自然と共振するもの、見えないところに根ざしたものである。

 人間は魂に素直に従って生きることが難しい生命体である。思考して今日を生きてよいかどうかではなく、魂で感じるような生命力、魂の声が聞こえてくるような植物を描き、そして、人間が持つ本来の生命力を表現したい。

                                                                                     志賀 絵梨子

作家経歴

「花篭る幻視」(2015)

「花篭る幻視」(2015)

 

志賀 絵梨子

1984 神奈川県生まれ

2002  武蔵野美術大学 造形学部油絵科に2年間在学ののち

~2004東京藝術大学へ入学

2008 東京藝術大学 美術学部絵画科油画専攻 卒業

2015 東京藝術大学 大学院美術研究科芸術学専攻 在学中

2009 第19回富嶽ビエンナーレ展 佳作賞 受賞

2011 第20回富嶽ビエンナーレ展 優秀賞 受賞

2015 第83回独立展 新人賞 受賞

 

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